2018年1月22日、株式会社日立製作所は、地盤や構造物からの微小振動を高感度かつ低消費電力で検出できるMEMS加速度センサー(以下、同センサー)を開発したと発表した。
橋梁や建造物などの異常を監視する加速度センサーのメンテナンス性を高めるには、消費電力を大幅に削減して電池駆動年数を延ばす必要があるが、従来のMEMS加速度センサーでは、回路のノイズを低減して高感度化するには消費電力を2乗に比例して増やす必要があるため、消費電力低減と高感度化を両立することは困難であった。
なお、MEMSとは、Micro Electro Mechanical Systems (微小電気機械システム)のことで、機械的部品と電気的部品を半導体基板に集積化して作られた超小型機械要素やセンサーなどのデバイスだ。
MEMS加速度センサーは、弱いばねで保持された可動錘と、錘の動きを検出・制御する回路で構成され、振動で生じた錘の動きを電荷として検出し、錘が静止状態になるように制御するが、錘が動く際に表面に当たる空気がノイズとなり、高感度化の妨げとなっていた。
同センサーは、薄い絶縁膜を挟んで2枚のシリコンウェハを貼り合わせた基板で構成した錘において、入口と出口で径の異なる貫通孔を形成して空気を逃がすことにより、空気抵抗を約半分に低減した。
また、従来のMEMS加速度センサーは、錘の動きを検出して制御するために、同じ電極を交互に切替える方式を用いていた。この方式では、制御できない時間帯を補うために、高電圧で制御力を発生させる必要があり、消費電力が高くなっていた。
同センサーでは、制御用と検出用の電極を独立して配置し、常時、制御と検出を行うため、制御時の出力電圧を約60%に低減でき、消費電力も低減できた。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
日立 ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2018/01/0122.html