2017年11月20日、株式会社熊谷組は、中大規模の木造建築を念頭に3時間耐火構造(以下、同構造)の基礎実験(以下、同実験)を行い、その基本性能の確認を行ったと発表した。
2010年10月に、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されているように、国の政策として、木材の利用促進が位置づけられ、住宅以外にも木造化のニーズが高まっている。
一方、建築物の主要構造部は、最上階から数えて4階までを1時間耐火構造、14階までを2時間耐火構造にする必要があり、3時間耐火構造であれば、階数の制限はなくなる。
同実験の結果、同構造により、「燃え止まり層」を従来より薄くし、建物の主要構造部である柱の断面を小さくすることが可能となった。
なお、「燃え止まり層」とは、木造建築の耐火性能を確保するために、仕上材と芯材(集成材等)との間にある燃焼を停止させる層で、耐火加熱中には、芯材表面の温度が250度未満で、炭化していないことなどが必要とされる。
石膏ボードは、火災時に内部に含まれる結晶水が「水」へ化学変化した際の蒸発潜熱等の影響で耐火性が確保できる材料であるが、結晶水がすべて水へ変化すると、耐火性能が低下とともに、崩壊しやすい。一方、熱耐火パネルは、結晶水はまったくないが、約5倍の断熱性能があり、崩壊防止に寄与する。
そこで、この度開発した同構造は、燃え止まり層に石膏ボードと断熱耐火パネルを積層し、その厚さを薄くした。
同実験後の断面確認でも、柱芯の表面が炭化していないことを確認したとのこと。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
熊谷組 プレスリリース
http://www.kumagaigumi.co.jp/press/2017