一つのダンパーで中小地震から巨大地震にまで対応
2017年11月15日、清水建設株式会社は、カヤバシステムマシナリ株式会社と共同で、大地震時に免震ビルの揺れ幅に応じて減衰性能が自動的に切り替わる可変減衰型「デュアルフィットダンパー」(以下、同ダンパー)を開発し、その性能を認証する国土交通大臣認定を取得したと発表した。
阪神大震災以後、多く建設されている免震ビルの揺れを減衰させるオイルダンパーは、設置台数を増やせば、長周期地震動と共振した場合に積層ゴムが大きく変形するのを抑制できるが、中小地震の場合には、積層ゴムの変形を過剰に抑制して免震効果を損なう問題がある。
「デュアルフィットダンパー」の概要
オイルダンパーは、オイルを内蔵したシリンダー内で、孔の空いたピストンがロッドを介して伝わったビルの揺れにより動く際に、孔を通るオイルの油圧抵抗によりピストンの動きを抑制して減衰力を発生するもので、抵抗値はピストンを貫通する孔に設けるバルブ(減衰弁)により調整する。
同ダンパーは、従来の免震用オイルダンパーをベースに、ピストンを貫通する追加孔と、追加孔を貫き軸方向に伸びる切替ロッドを新たに加えた構造だ。
切替ロッドは、中央部が細く、両端部が太い径とすることで、揺れ幅が小さい中小地震時には追加孔と切替ロッドの隙間をオイルが通り抜けるので油圧抵抗が小さく、揺れ幅が大きくなる巨大地震時には追加孔と切替ロッド両端部との隙間が塞がれて油圧抵抗が高くなるため、揺れ幅に応じて減衰性能が自動的に切り替わる。
(画像はプレスリリースより)
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清水建設 ニュースリリース
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