2017年10月31日、株式会社日立製作所は、鉄鋼プラントの鋼板を製造する冷間圧延機において、AIを活用し、リアルタイムな制御を実現する技術(以下、同技術)を開発したと発表した。
鋼板を製造する際、鋼板の両端や中央部分が波打つ形状パターンが発生することがあり、これを補正するために、機械で形状を自動認識させてパターン制御するとともに、オペレーターが手動操作により微調整する必要があった。
しかし、この方法では、オペレーターの操作に負担が加わるうえに、熟練度の差によって形状にばらつきが出るなどの課題があった。また、鋼板の形状にばらつきがあると歩留まりが低下し、鋼板の破断や装置の破損などを引き起こす虞もある。
同技術は、これまで蓄積してきた膨大な鋼板の形状パターンや操業の実績データをもとに、オペレーターの手動操作と鋼板の形状実績の関係性をニューラルネットワークにより学習させるディープラーニングによって、最適な制御動作を導出し、リアルタイムで冷間圧延機を制御するものだ。
また、鋼板の形状パターンと機械の制御のさまざまな関係性を学習することで、これまで見出せなかった新たな制御方法を機械が自動で習得することが可能となる。
なお、同技術には、AIを活用したリアルタイムな制御技術のほかに、制御結果をフィードバックしてディープラーニングの学習効率・精度を高めていく仕組みや、同社が制御分野で長年培ってきたノウハウにより、ディープラーニングによる異常値の出力を抑制する仕組みを備えている。
このため、同技術を運用しながら制御性能を向上させ、誤った制御による鋼板の破断や装置の破損などを防止することも可能となる。
(画像はプレスリリースより)
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