2017年10月5日、株式会社安藤・間は、東北大学東北アジア研究センター佐藤源之教授の指導のもと、地上設置型合成開口レーダ(Ground Based – Synthetic Aperture Radar、以下、GB-SAR)を土木工事の施工に活用し、長大のり面における掘削中の斜面動態観測の高度化および省力化を実現したと発表した。
長大のり面や急峻な地形における切土掘削工事などでは、地表面の変位を計測して、豪雨や地震などに伴うのり面の変状の有無を確認しながら掘削を進めていくが、従来の離散的な計測手法では、設置できる計測機器の数には限りがあるため、実際に変状が発生している範囲を特定することは困難であった。
同社は、実際の切土のり面を施工する工事で、GB-SARの試験運用を行い、のり面全体の変状を面的に把握できるため、計測点毎の機器の設置・測量が不要で、格段に省力化され、変状発生を見逃すことなく、長大のり面の監視に有用であることを確認した。
GB-SARは、17GHz帯の電波を放射し、観測対象物から散乱された電波を受信することで、長距離(数km)離れた観測対象物でも面的変位を非接触で高精度で観測できるため、観測範囲内に立入る必要がなく、天候(雨や雲など)や方位などの影響を受けにくい特徴がある。
試験運用では、GB-SARを切土のり面の対岸(直線距離約700m)に設置し、掘削期間中の2~5分に1回の頻度で24時間の連続計測を行った。また、得られた結果を、ドローンで撮影した写真を用いて作成した3次元モデルに重ねて表示し、土木工事で必要とされる精度を有することを確認した。
なお、情報を共有できるネットワークシステムを構築したため、変状の有無を工事関係者がリアルタイムで確認でき、施工の安全管理に役立てることができたという。
(画像はプレスリリースより)
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