2017年9月14日、株式会社奥村組と株式会社パスコは、地上にマイクロ波を照射し地表面の状態を観測する合成開口レーダー衛星(以下、SAR衛星)を、シールドトンネル工事における地表面変位測量(以下、同変位測量)に活用し、計測できることを実証したと発表した。
シールドトンネル工事では、シールド機直上やその周辺の地表面変位を監視する必要があるが、観測点付近に測量機器や受信機を設置する方法では、交通量が多い道路や立ち入りに制限のある私有地では測量が困難だ。
また、シールド機通過後の地表面変位を継続監視する場合や、変位を面的に把握したい場合には、多くの観測点を設け、継続して測量する必要があるため、時間と労力がかかっていた。
SAR衛星は、地球を周回しながら、地上にマイクロ波を照射し、その反射波を受信することによって対象物の観測を行うものだ。このため、立ち入りが困難な場所の計測が可能で、時間や天候などにも左右されにくい。
同変位測量では、観測点に変位が生じた場合、SAR衛星が受信する反射波に位相差が生じることを利用して、変位量を算出している。また、これより得られる地表面の変位量データを視覚的に捉えるため、変位データの大きさごとに色分けしたメッシュ図やコンター図を表示するシステムを開発した。
さらに、同システムは、メッシュ図やコンター図に2次元の地図や航空写真、シールド機の位置などを重ね合わせて表示することも可能だ。
なお、京都市上下水道局発注の新川第6排水区新川6号幹線公共下水道工事で、計画線全長を幅100mにわたり、計30回以上の頻度でSAR衛星による計測を行った結果、従来の測量方法と同程度の精度を確保できることを確認した。
(画像はプレスリリースより)
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奥村組 ニュースリリース
http://www.okumuragumi.co.jp/news/2017/index8.html