2017年8月24日、鹿島建設株式会社は、北海道小樽市で施工中の石狩湾新港発電所1号機新設工事(以下、同工事)において、液化CO2を冷却液として用いた新たな地盤凍結工法(以下、同工法)を、日本で初めて建設工事に適用したと発表した。
同工事は、石狩湾新港内に北海道初のLNG(液化天然ガス)火力発電所を建設する工事で、放水路立坑・放水路トンネル・放水口で構成される放水設備を築造するもの。
同工法により、海底での施工という厳しい条件の下で、環境に配慮しながら冷却液の低温化で止水効果を向上させ、シールドマシンと既設放水口(J字型放水管)との接続工事を完了し、放水路トンネルを無事貫通させた。
シールド工事では、安全かつ高精度に工事を行うための地盤改良に、地盤凍結工法が多く採用されてきたが、これまでは、地盤を冷やす冷却液(二次冷媒)には塩化カルシウムを用い、また冷却液自体を冷やすための冷凍機(一次冷媒)ではフロンを用いるものが主流であった。
しかしながら、近年の地球温暖化防止の観点から、ノンフロンへの転換や、温室効果ガス排出量の削減など、環境に配慮した新たな凍結工法が求められていた。
新たな地盤凍結工法では、冷凍機の一次冷媒にはアンモニア(NH3)、二次冷媒には液化CO2を採用している。
塩化カルシウム冷却液はマイナス30度までしか冷やすことができないが、液化CO2は、マイナス45度まで冷却が可能で、また、液化CO2が気化する際の潜熱(地盤から熱を奪うことによる冷却)も利用するなど、高効率で、工期・コスト面で有利だ。
このため、冷却液の循環にかかるエネルギー消費量が激減し、温室効果ガス排出量は約50%削減されることを確認している。
さらに、一次冷媒にもノンフロンであるアンモニアを使用しているため、環境負荷低減効果の高い工法だ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
鹿島 プレスリリース
http://www.kajima.co.jp/news/press/201708/24c1-j.htm