小松精練は7月28日、金沢工業大学革新複合材料研究開発センター(ICC)と共同で開発した熱可塑性炭素繊維複合材「CABKOMA(カボコーマ)ストランドロッド」が、近く耐震補強材として国内標準(日本工業規格/JIS)化される見通しとなったことを明らかにした。
同社では国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)によるセンター・オブ・イノベーション(COI)プログラムの支援の下、標準化へむけた動きを進めてきた。今後JIS化審議会の採択を経て、正式にJISに制定される見込みだ。
「カボコーマ・ストランドロッド」は日本の伝統産業である組紐の技術と、現代の炭素繊維の技術を融合した強さとしなやかさを有するロープ状の熱可塑性炭素繊維複合材。引張への強さ、比重が鉄の4分の1であることによる軽さに加え、錆びない、結露しない、そして耐久性に優れるといった特徴を併せ持っている。
またこれら特徴により、従来工法における鉄筋ブレースと比較した場合、輸送コストや柔軟性、建造物への負担や経年劣化への強さなど、数々の面でメリットがもたらされるという。
現在法的制約により、炭素繊維の使用は建造物の柱・梁・土台部分等に使用する「構造材」としては認められていないものの、増床(ぞうしょう)とみなされないかぎり「耐震補強材」として用いることは可能だ。
これまで、小松精練では長野県の「善光寺 経蔵」保存修理、石川県「旧本社社屋 『fa-bo』」の改修にあたり、「カボコーマ・ストランドロッド」を採用しての耐震補強工事を実施。その有効性を確認してきた経緯をもつ。
同社では今回のJIS化を通じ炭素繊維より線の性能特性評価が標準化されることで、より安全・安心で使いやすい建築材料としての価値が向上するとともに、正式に耐震工法としての認定を得ることで、技術的普及がより拡大していくことについても期待したいとしている。
(画像はプレスリリースより)
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小松精練 プレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/000000028.000011928.html