2017年7月11日、国立研究開発法人 産業技術総合研究所は、路面を傷つけずに、地盤の比抵抗を測定できる高周波交流電気探査装置(以下、同技術)を開発したと発表した。
我が国の水道管の多くが法定耐用年数の40年を超えて老朽化が急速に進んでおり、老朽化した水道管の劣化リスクを評価する技術の開発が喫緊の社会的課題になっている。
老朽化した水道管の交換や修理などの更新優先度を決定して計画的に更新するために、路面を掘削して、採取した土壌試料の比抵抗を測定して水道管の腐食を調査する技術があるものの、コスト・時間・労力がかかっていた。
同技術は、路面から地盤の詳細な比抵抗を計測でき、水道管の腐食リスクを効率よく評価できる特徴がある。
同技術は、高周波を送信する送信機と送信ダイポール、受信する受信機と受信ダイポールで構成され、お互いに独立した送受信機間でGPS信号により完全に相互同期した直交同期検波により極めて微弱な電位差を検出できる。
また、同技術は、極めてノイズ耐性の高い直交同期検波による信号検出を行っているため、電気ノイズに高い耐性を持ち、ローラー状の電極を用いるため前後方向への可動性が良くなるとともに、スポンジ素材の電極が路面の凹凸や勾配を埋めるなどして良好な接地性が得られた。
なお、同技術では、計測地点の深さ方向比抵抗の変化を推定するだけではなく、送信ダイポールと受信ダイポールの両方を移動させて2次元的な地盤の比抵抗断面図も推定できる。
さらに、測定前の準備から測定後の撤収まで30分程度で行えるので時間とコストを大幅に削減でき、交通量が多い道路での腐食性調査も容易に行え、老朽化対策が急がれる水道管の更新優先度の決定を大幅に効率化できる。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
産総研 ニュースリリース
http://www.aist.go.jp/