宇宙創成の謎に迫ることができるという「国際リニアコライダー」(ILC)の日本誘致を推進している研究者組織「ILC戦略会議」は、23日、立地評価会議において、ILCの建設候補地として、岩手・宮城両県の「北上山地」を最適と評価する結論に至ったと発表した。
「北上山地」は、もうひとつの候補地、佐賀・福岡両県の「脊振(せふり)山地」と誘致合戦を繰り広げていたが、地盤の安定性や、工事のしやすさ、電力の確保、費用などの観点から大差で選ばれた。
「国際リニアコライダー」は、全長約50キロの直線の地下トンネル内に設置する巨大な加速器で、トンネル中央部で電子と陽電子を衝突させて、宇宙初期に迫る高いエネルギーの反応を作り出すことで、宇宙創成、時空間、質量の謎に迫るというもの。
2004年に、国際協力で「世界でひとつだけ」つくる加速器として「国際リニアコライダー(ILC)」が計画、推進されてきたが、巨額の費用などが足かせとなり、海外の動きは鈍い。
北上山地が候補地に選出されたことで、日本でのILC実現への期待が膨らんできた。
仮に実現すれば、この地に世界的な国際研究都市が生まれることが予想され、東北地方復興も一層加速すると考えられるが、巨額の建設費用、運営費用などの壁は厚く、日本政府としても誘致を決めているわけではない。
今回、北上山地が候補地に選出されたことを受け、日本商工会議所の岡村会頭、経済同友会の長谷川代表幹事は、政府に実現を呼びかけるコメントを発表している。
▼外部リンク
国際リニアコライダー国内候補地の立地評価会議の結果について
http://ilc-str.jp/topics/2013/08231145/
ILC戦略会議
http://ilc-str.jp/
ILCプロジェクト
http://aaa-sentan.org/ILC/
高エネルギー物理学研究者会議
http://www.jahep.org/