2017年3月24日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構は、新日鐵住金株式会社(以下、新日鐵住金)、JFEスチール株式会社、株式会社神戸製鋼所、日新製鋼株式会社および新日鉄住金エンジニアリング株式会社とともに、新たに建設したパイロット規模の試験高炉で試験操業(以下、同試験操業)を行い、CO2削減・分離・回収技術の有効性を確認したと発表した。
同試験操業により、製鉄プロセスのCO2排出量30%削減達成に向け、大きく前進した。
引き続き2017年度もパイロット規模の試験高炉による試験操業を行い、2030年頃までにCO2排出量削減技術を確立し、2050年までの実用化・普及を目指す。
NEDOは、製鉄所からのCO2排出量を約30%削減する技術の確立を目指して、2008年度より「環境調和型製鉄プロセス技術開発」を実施している。
2008~2012年度のSTEP1では、CO2排出を抑制し、CO2を分離・回収するための要素技術の開発を行った。
2013年度から進めているSTEP2では、STEP1の要素技術の開発成果を元に、2016年度に新日鐵住金・君津製鉄所構内に容積12立方メートルのパイロット規模の試験高炉を建設した。予算規模は約160億円だ。
同試験高炉で行う試験操業では、水素を鉄鉱石の還元材として利用することでコークス使用量を削減し高炉からのCO2排出量を削減する技術と、高炉ガス(BFG)からCO2を分離・回収する技術の実証を行っている。
これまで、試験操業を2回行い、主として水素還元などの送風操作による炭素消費原単位(高炉InputC)の削減を確認し、CO2排出量削減目標を達成できる見通しが得られた。
さらに、低い温度で反応性に優れる吸収液の開発などにより、BFGからのCO2分離・回収コストを1トン当たり2,000円以下という目標を達成できる見込みとなり、試験操業で、CO2分離・回収設備との連動性も確認している。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
NEDO ニュースリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100742.html