共焦点反射顕微鏡と次世代シークエンサーを活用
産業技術総合研究所は2月23日、活性汚泥による水処理膜の閉塞を新たな手法で解析したと発表した。
稲葉知大研究員、堀知行主任研究員らの研究グループが、共焦点反射顕微鏡法を用いたバイオフィルムを非破壊で観察する技術と、次世代シークエンサーを用いた微生物の大規模同定技術とを組み合わせて、水処理膜が閉塞する原因を解析したもの。
水処理膜閉塞の原因は死んだ細胞の脂質
バイオフィルムによって水処理膜が閉塞する原因や発生メカニズムに関しては、モデルでは検討できるものの、実際の環境での解析が非常に困難であるため、いまだに不明点な多かった。
今回、蛍光プローブを併用した共焦点反射顕微鏡法を用いて、水処理膜上でバイオフィルムを構成する細胞由来の高分子を可視化することに成功した。
さらに次世代シークエンサーを用いて、バイオフィルム中の微生物を数十万種同定し、膜が閉塞する原因となる物質と微生物を解析したという。
解析結果から廃水中の有機物が多い場合に、バイオフィルム中に生息する、異なる細菌同士の捕食と被食によって死んだ細菌の細胞膜脂質が蓄積して膜閉塞が発生する可能性が示唆された。
なお、この成果は英国時間2017年2月23日、国際学術誌npj Biofilms and Microbiomesにオンライン掲載された。
(画像はプレスリリースより)
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独立行政法人 産業技術総合研究所のプレスリリース
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