2017年2月13日、株式会社大林組は、株式会社川熱および朝日工業株式会社と共同で、ポリビニルブチラール樹脂(以下、PVB樹脂)および硅砂を用いた高性能な防食鉄筋「サンドグリップバー」を開発したと発表した。
海水の影響を受ける沿岸地域や凍結防止剤が散布される寒冷地域などにおけるコンクリート構造物には、塩害防止の観点から、防食性の高い鉄筋を使用することが求められている。
しかしながら、これまで、多く使用されているエポキシ樹脂塗装鉄筋は、普通鉄筋よりもコンクリートとの付着強度が低下し、また、曲げ加工や組み立て時の衝撃によって、エポキシ樹脂塗膜を損傷する場合があり、これらに対する対策が必要であった。
この度発表した「サンドグリップバー」は、エポキシ樹脂よりも伸び率の高いPVB樹脂で鉄筋を被覆するとともに、その周囲に硅砂を付着させて、付着強度の低下や衝撃による損傷の課題を克服した新しい防食鉄筋で、価格はエポキシ樹脂塗装鉄筋と同等以下だ。
なお、「PVB-S被覆鉄筋」という名称で、2016年9月に、一般財団法人沿岸技術研究センターの「港湾関連民間技術の確認審査・評価事業」の評価を取得した。
サンドグリップバーは、土木学会の品質規格「エポキシ樹脂塗装鉄筋を用いる鉄筋コンクリートの設計施工指針」を満たしており、エポキシ樹脂塗装鉄筋と同等の防食性を確保している。
鉄筋周囲に付着させた硅砂の効果により表面が粗くなり、コンクリートとの付着強度が増加するため、重ね継手の延長が不要で、エポキシ樹脂塗装鉄筋よりも鉄筋の総量を2~6%低減できる。
PVB樹脂は、エポキシ樹脂より伸び率が大きく、変形に対する追従性が高いため、曲げ加工や組み立て時の衝撃による塗膜の損傷が生じにくく、補修の手間を低減し、工期短縮にもつながる。
(画像はプレスリリースより)
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