千葉工業大学は13日、遠隔操作型の探査ロボット「CHERI」にカメラ機構を搭載した建物内の天井裏点検システムを、大成建設と共同で開発することに成功したと発表した。
CHERIは、全長350mm、幅250mm、高さ90mm、重量4.5kgと小型かつ軽量な探査ロボット。高さ150mmの段差踏破性能を備えているほか、クローラ方式の駆動部を合計6か所備えており、段差やすき間に応じた柔軟な動きが可能だ。
昨今、地震による天井仕上げ材の崩落事故などを背景に建築物における劣化診断や耐震診断など点検作業の重要性が高まるなか、建築物の天井裏内部における狭隘かつ暗所な空間、加えてそこに多数存在する空調ダクトなどの構造物は、従来の人的な点検によるネックとされてきた。
今回のCHERIを用いた天井裏点検システムは、これら狭隘な空間でのより容易な点検を実現するべく開発されたものだ。天井部材の段差が65mm程度であれば、CHERIはこれを容易に乗り越えて突破可能。またダクトや配管下など約100mm以上のすき間に対しては、潜り抜けることで通過することができる。
また、前方に搭載されたカメラと付属のLEDライトにより、10ルクス程度の少ない光量でも鮮明なカメラ映像をリアルタイムで記録することが可能だ。このカメラは、最大で300mmまで撮影高さを調整できるリフトアップ機能も兼ね備えているという。
加えて、CHERIとカメラのそれぞれは無線LANを介した遠隔制御で動作。オペレーターは点検状況をモニターで随時確認しつつ、パソコンによる操作で移動方向や速度、カメラの向きや画面の大きさなどを変更し、様々な視野を駆使して点検することが可能となっている。
千葉工業大学によれば、今回のシステムを用いることで確認できる点検箇所や範囲が従来と比べ大幅に拡大するため、天井部材の不具合や建物の経年劣化に伴う部材不良等の細かな確認、ならびに危険箇所の察知にもつながるという。
同大学と大成建設株式会社では今後、天井裏の点検作業について建物点検業務に従事する調査会社等と連携を実施。実際の建物における適用を重ねることで、サービスの本格的な実用化につなげたい考えだ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
千葉工業大学 プレスリリース
http://www.furo.org/ja/works/cheri/index.html