鹿島建設は、10月17日、多床室(相部屋)に入院する患者個々に対して、睡眠に与える影響力の大きい「温熱」「音」「光」環境を最適化し、睡眠環境を向上する技術を構築したことを発表した。
入院患者にとって病室は日常生活の場。同社は、より良い療養生活を送るためには、自宅で過ごすような環境を整備することが重要だと考え、入院患者の睡眠環境の最適化へ向け、病室の設計から本質的な解決を図ったという。
「温熱」環境技術では、天井近くの空気をベッド上に送風する「室内送風装置」を開発。患者それぞれが自分の好みに応じて送風を調節できるようにした。
また、「音」環境技術では、「ブラウンノイズ」と呼ばれる低音から高音まで幅広い周波数を持つ音を適度な音量で発生させるシステムを開発。ベッドの中央に「ブラウンノイズ」を発するスピーカーを設置することで、周囲で発生する雑音の緩和につなげた。
さらに「光」環境技術では、窓の上部から入射する光を天井面へ反射させる「ライトシェルフ」を窓面に設置し、反射光を廊下側のベッドまで届くようにしたほか、ベッドサイドに設置するパーテーションと一体型の「模擬窓照明」を開発。
日中一定の照度を保つことで、患者は安定した質の良い睡眠を得られるようになったという。
3つの環境技術のうち、温熱環境技術の室内送風装置と、光環境技術のライトシェルフについては、医療法人社団三友会あけぼの病院に既に導入され、高い評価を得ている。
今後、同社はこれらの技術検証をさらに進め、新規の医療施設の建設や既存の病室の改修などに活用し、より良い医療施設づくりに貢献していく考えだ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
鹿島建設 プレスリリース
http://www.kajima.co.jp/news/press/201610/pdf/17a1-j.pdf