清水建設株式会社は、8月23日(火)、切羽前方の地山状況を三次元的に探査するシステム「S-BEAT(Shimizu Hydraulic-Breaker Exploration Ahead of Tunnel Face)」の開発を発表した。
自社開発の探査手法をさらに改良・高機能化したもので、予測精度と生産性の向上を果たしている。
S-BEATの探査原理は、地山を伝播する振動が岩盤性状の変化点で反射する現象を利用。トンネル内で観測した振動データから地山内の反射面の位置を推定する反射法弾性波探査を応用している。油圧ブレーカーの掘削振動を振動の起点とし、トンネル側壁に打ち込まれた複数の既設ボルト頭部に受信センサーを装着して受信データを記録する。
山岳トンネル工事を安全かつ効率的に進めていくには、地山性状を事前に把握しておく必要があるが、従来の先進調査ボーリング等の確実な方法は、工事の中断を伴い、費用も高額なため、頻繁に実施することはできなかった。
S-BEATは、従来の直進方向に加え、上下・左右の変化点位置を推定することができるため、トンネル周りの三次元的な地山性状の予測を可能とした。
また掘削作業に使用する機材を利用するため、システム設置から撤収までの作業や時間が大幅に簡素化され、工事を中断せずに日常的にデータ取得を行うことができる。そのため、工期を短縮し、探査費用を最小限に抑え、予測精度を向上させる、等の効果がある。
清水建設は、S-BEATに加え、既に実用化している、ロックボルト挿入孔の削坑エネルギーデータを利用した「山岳トンネル三次元前方予測・探査システム」を、施工条件に応じて使い分け、施工品質・安全性の向上に努めていく、としている。
(画像はプレスリリースより)
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清水建設 プレスリリース
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