清水建設は、8月25日、「1855年安政江戸地震」の震源モデルと地震動を推定し、千葉県北西部のフィリピン海プレート内の深さ60キロメートル付近に震源を設定することで、歴史資料に基づく震度分布を再現することができたことを発表した。
「1855年安政江戸地震」は、マグニチュード7前後、都心部での最大震度6強、首都直下地震の中で最大被害をもたらした首都直下地震といわれ、その震動特性を解明することは、東京での地震対策の立案や首都圏の超高層建物等の設計用地震動を策定する上で重要と位置付けられてきたという。
今回の研究では、まず、2005年7月23日に発生した千葉県北西部地震の震度分布が、異常震域を示す安政江戸地震の震度分布と類似していることが判明した。
次に、2カ所の強震動生成域を含む震源モデルを設定した後、震源位置と強震動生成域の設定条件を変えながら、「経験的グリーン関数法」に基づいて、千葉県北西部地震の観測記録から大地震の強震動を予測。
強震動予測と震度分析を繰り返した結果、安政江戸地震の震度分布を再現する「最適震源モデル」を見出したという。
このモデルによる推定地震動は、速度波形に周期1~2秒のパルス波が見受けられた。この数値は、中低層の建物に与える影響が大きいとされることから、推定地震動は、安政江戸地震の再来を想定した地震対策にもつながるとしている。
なお、同社は、今後、この研究成果を、超高層住宅の生活継続プランの研究に利用してもらうとともに、都心部での超高層建物等の耐震設計に反映していく考えだ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
清水建設 プレスリリース
http://www.shimz.co.jp/news_release/2016/