- この記事のポイント
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- 施工管理の仕事内容は?
- 施工管理の魅力って?
- なぜ、未経験でも施工管理になれるのか?
- 施工管理に向いている人って?
- 転職を成功させるための、志望動機のポイントは?
「自分の携わったものが地図に残る」「社会貢献度が高い」「多くの人と協力して仕事を進める喜びが味わえる」といった魅力がある、施工管理の仕事。敷居が高く見える仕事ですが、実は未経験者でも転職が可能です。
この記事では、施工管理を目指す上で知っておきたい仕事内容や魅力、向いている人などをご説明します。
建物や道路、トンネル、電気設備など、さまざまな施設・設備が計画通りに施工できるよう、「四大管理」と呼ばれる業務を手掛ける職業です。
四大管理とは
1)工程管理
……スケジュールを作成し、期限までに工事を終えられるように手配を行う。
- 工事スケジュール(工程表)の作成
- 職人や、使用する機材の手配
- 現場での指示出し
- 作業が遅れた際の、リカバリー策の立案・スケジュール調整
2)品質管理
……計画通りに建物・設備等を施工するための、品質チェックや指示出しを行う。
- 現場での指示出し
- 工事の品質を証明するための、記録写真の撮影
- 発注者に提出するための、報告書・書類作成
- 職人に説明するための、説明用図面の作成
3)原価管理
……会社が利益を得られるよう、工事費用の管理を行う。
- 人件費、材料費、重機のレンタル代などの計算
- 見積書の作成
- スケジュール遅れやトラブルで追加費用が発生した場合の、資材・作業内容等の調整
4)安全管理
……事故無く、安全に工事を進められるような環境を整える。
- 雨天・荒天時の作業判断や、高所作業時の安全策の立案
- 周辺住民・通行人の安全を守るための注意喚起(工具の落下防止の呼びかけ等)
- ヒヤリハットの分析、注意点の共有
施工管理に必要な資格は?
資格なしでも、施工管理の仕事を始めることが可能です。ただし、入社後に会社からの指示で「施工管理技士」の国家資格を取得するケースが多く見られます。
というのも、法律によって『工事現場には必ず、特定の国家資格・実務経験を有した技術者(施工管理技士など)を配置しなければならない』と定められているから。受注できる工事の件数を増やすために、有資格者を増やしたいという企業の狙いがあります。
資格取得には実務経験が必要になるため、経験を積みながら、まずは2級の施工管理技士資格を取得するのが主流です。資格は「建築、土木、管工事、電気工事、電気通信、造園、建設機械」の7種類に分かれており、担当業務に必要なものを取得することになります。
施工管理のキャリアパス
施工管理の場合、2つのステップを経てキャリアを積むのが王道と言われています。
最初のステップは、まず実務経験を積んで現場の責任者になること。先輩の施工管理の下で指示を受ける立場からキャリアを積み、責任者として現場を取り仕切る立場を目指しましょう。
責任者としての業務に慣れたら、次のステップとして「より大きな規模の現場」や「難しい工事」を担当できるようになることを目指します。
ただし、大規模な現場の責任者になるには、その受注金額に応じた資格が欠かせません。1つの資格を取得するには数年~10年ほど実務経験が必要なので、地道にキャリアを積みましょう。
施工管理の、3つの魅力
1)「目に見えるもの」を作り上げる、達成感がある
「地図に残る仕事」というキャッチフレーズがあるように、自分が携わったものが形として残ることに、達成感を覚える方が多いようです。
実際、建築産業の魅力に関するアンケートでも約6割が「建設したものが後世に残る」ことが魅力だと回答しています。
2)求人ニーズが高い仕事
施工管理技士は、法律によって『工事現場に必ず配置しなければならない』と定められているだけでなく、団塊の世代の大量退職による人手不足で、さらに求人ニーズが高まっています。
実際、施工管理を含む建築技術職の有効求人倍率は7.34(2019年11月時点)。平均有効求人倍率の4.5倍という高水準です。求職者1人に対して7社以上から募集がある状況なので、転職先の選択肢が豊富と言えます。さらに、1級の施工管理技士資格を持っている方はニーズが高く、転職活動が有利になるようです。
3)給与額が高め
施工管理に限らず、建設業界は平均年収が高めなのが特徴です。厚生労働省の調べによると、建設業界の概算年収は約560万円。全職種の平均年収よりも、100万円ほど高いという結果が出ています。
厚生労働省 平成30年賃金構造基本統計調査より
施工管理の、厳しい側面
大きな魅力がある反面、施工管理はきつさも伴う仕事です。代表的なものをいくつかご紹介します。
残業が多い
「業務量の多さ」は、厚生労働省が実施したストレス・悩みの調査でも、施工管理の3割以上が悩みとして挙げるほど、メジャーなきつさです。実際、建設業界は全体平均と比べて年間330時間以上(1日1時間以上)も実労働時間が多いことが明らかになっています。
休日が少ない
建設業界では、完全週休2日制以上の企業はわずか7%台。建設業界以外も含めた全体では、50%以上の企業が完全週休2日制をとっており、大きな開きがあります(日本建設産業職員労働組合協議会調べ)。
人間関係に気を遣う
発注者と現場の間に立つ仕事であり、いわゆる板挟み状態での調整ごとに気疲れを感じる方も少なくないようです。ストレス・悩みに関するアンケートでも、3割以上の方が「顧客からの過度な要求」や「職場の人間関係」等にストレスを感じていることが明らかになっています。
施工管理の求人募集のうち、未経験者の募集がどれほどあるかご存じでしょうか?
2020年3月頭の時点で、ハローワークに掲載されている「建設技術者・土木技術者(施工管理含む)」の求人は約30000件。そのうち、経験不問のものは約10000件にのぼります。全求人の約1/3で、未経験者が求められている状況です。
「専門知識が必要そうな仕事なのに、未経験OK」と聞くと矛盾しているように思えますが、下記のような理由から、未経験者を積極的に受け入れています。
1)特殊な資格が無くても始められるから
施工管理の募集でよく求められる資格に「施工管理技士」という国家資格がありますが、これは実務経験が無ければ取得できません。専門学科を卒業した人も、未経験者も、まずは無資格からキャリアをスタートすることになります。
そのため、数年間の実務経験を通じて人材を育てるという流れ・制度が確立している企業も多く、未経験者を受け入れる土壌が整っています。
2)人材のニーズが高いから
「施工管理の魅力」でお伝えした通り、施工管理をはじめとした建設技術職は、さまざまな職業の中でも特に人材のニーズが高いことで有名です。高齢ベテラン層の大量退職や、若手不足といった課題を解消するために、人材の採用・育成に注力しています。
2019年11月時点の有効求人倍率は、7.34。技術者1人に対して、7社から声がかかっている「売り手市場」です。
3)人材ニーズの高い状態が、続いているから
建設市場の活況も、求職者にとって追い風になっています。スポーツ大会関連の大型工事がひと段落する2020年以降も、再開発やインフラ整備、万博等の大型イベント関連の工事が増えるため、工事件数は堅調な見込み。現場に配置する施工管理の求人募集も、引き続き発生すると予想されています。
4)働き方改革で、人材が求められているから
残業時間の多さや休日数の少なさが課題になっている仕事ですが、近年、業界団体や大手企業を中心に働き方改革が始まっています。
その一環として行われているのが「施工管理技士を増員して、一人ひとりの負担を減らす」という取り組み。時間外労働の罰則付き上限規制が2024年から適用されることを受け、行政から指導が入りやすい大手・中堅企業等で人材採用が活発化しています。
資格・知識が無い状態からでも、施工管理への転職は可能です。では、どのような人が現場で重宝されるのか?選考で優位に立つためにも、確認しておきましょう。
コミュニケーションに抵抗がない人
施工管理の業務は、基本的には人との調整・交渉を行う仕事です。発注者とのスケジュール・予算交渉や、現場の職人への指示出しなど、自分から動かなければならない場面が多々あります。そのため、自発的にコミュニケーションをとることに抵抗がない方は、仕事に馴染みやすいようです。
また、一方的に指示を出せばいいという仕事でもありません。歳が離れている職人や、なかなか自分のことを認めてくれない方など、さまざまな相手に合わせたコミュニケーションも必要です。丁寧な応対や姿勢で心の壁を取り除く、世間話で距離感を近づけるなど、歩み寄りの姿勢がとれる人は現場で重宝されるでしょう。
臨機応変に対応できる人
工事スケジュールや予算などを決め、計画通りに工事を進める仕事であると同時に、状況に応じて臨機応変に予定を変更することも重要な仕事です。
しっかり計画を立てたとしても、荒天や急な人員不足、作業ミスなど、様々な要因で予定の変更はつきもの。状況が変わっても納期・予算を超過しないように、代わりの手段を探すといった対応が必要になってきます。周囲に相談する等、機転を利かせて解決策を探れるタイプの人は仕事を進めやすいでしょう。
前向きに勉強できる人
未経験者の場合、転職後に求められるのは「専門知識の習得」と「施工管理技士資格の取得」です。会社の資格取得支援制度を活用したり、先輩社員に話を伺ったりして、知識を自分のものにする姿勢は欠かせません。
また、担当現場が変わるごとに、必要な工事の知識は変わってきます。新しい技術・素材の情報収集も必要なので、学ぶことに前向きでいられる人も向いていると言えるでしょう。
施工管理の志望動機
「施工管理を目指すのも、アリかもしれない」「どこかの企業に応募してみようかな」と思ったとき、多くの人が悩むのが書類の書き方。特に「志望動機の書き方」でつまづく人が多いようです。
そこで、転職の際に使える「施工管理の志望動機の書き方・ポイント」をまとめました。穴埋め式のフォーマットと例文も用意したので、参考にしてみてください。
志望動機づくりのポイント
- 未経験者は、意欲の高さを伝えることが重要
- 「向いている人に当てはまる」ことを、これまでの経験と絡めてアピールする
- 文字数は、150文字~200文字程度でOK(一般的な履歴書で、10行以内が目安)
志望動機のフォーマット
1文目転職して何を叶えたいかを書く。
「○○を叶えたい/○○に携わりたい」と考え、貴社を志望しました。
2文目その会社を選んだ、特別な理由を書く。
特に貴社は「 」に強みを持っており、「 」ができる点に魅力を感じています。
3文目前職の経験を活かして、どう活躍できるかを書く。
「前職では○○を経験しており」、施工管理の仕事でも「○○を活かして」貴社に貢献したいと考えています。
【記入例】
「インフラを支える、やりがいの大きな仕事に携わりたい」と考え、貴社を志望しました。
特に貴社は「水道や道路工事等の公共工事が多い」という強みを持っており、「生活に密着したインフラをこの手で支えられる」点に魅力を感じています。
「前職では営業職を経験しており」、施工管理でも「営業で培ったコミュニケーション力を活かせると伺ったため、このスキルを使って」貴社に貢献したいと考えています。
※こちらの記事も参考に>>穴埋めでカンタン作成!施工管理の志望動機
- 施工管理求人の約1/3は、未経験で応募OK。
- 特別な資格・学歴がなくても、施工管理になれる。
- 有効求人倍率は「平均の約4.5倍」。売り手市場だから、転職しやすい。
- 応募の際は「応募先の企業を選んだ理由」「他業界での経験が、どう活かせそうか」をアピールする。
「建設したものが、形に残る達成感」「常に一定の求人ニーズがある安定感」「他業界よりも高めの給与水準」など、施工管理は他の職業にはない魅力がある仕事です。
専門知識を駆使するタイプの仕事ですが、未経験から転職する方を迎え入れる制度を整えている企業も数多くあります。OJT制度や資格取得支援、社内スクールといったサポートを用意している企業もあるので、求人票を見るときは注目してみてください。いざ転職する際は、「入社後に学んでいく熱意」をアピールして、選考を有利に進めていきましょう。