HEMS
HEMS(ヘムス)とは、ITなどの情報化配線を利用した、家庭内電力の使用を効率化させるエネルギー管理システムである。Home Energy Management System(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)の頭文字に由来している。
HEMSの機能
スマートハウスの一部として連動し、家庭内における電力使用量、発電量、蓄電量、ガス使用量、水使用量などの「見える化」が可能となる。
また、省エネのための機器制御、ソーラー発電機のような蓄電器の制御などを行うことで、省エネ性・利便性・居住快適性を向上させ、結果としてCO2削減にも貢献する。
例えば、家庭内の消費電力の最大使用量をあらかじめ設定すれば、消費量が設定値に達した時、エアコンの自動調節や、生活するうえで優先順位の低い機器の電源を自動で落とすなどして、設定された使用量より少ない電力消費状態を維持することができる。
これらの作業はすべて、専用モニターまたはスマートフォン、タブレット、パソコン上で行うことが可能である。
■主な機能
・表示する機能
家庭内でどれだけのエネルギーが、いつ、どの部屋で、どの機器に使用されているかを見えるようにする。
・制御する機能
家庭内の機器を一括してコントロールし、自動的にエネルギー使用量を最適化する。
■HEMSと連動する機器および機能の例
・太陽光発電
発電量を監視することで、発電効率の制御が可能になる。
・スマート家電
家電の遠隔操作と監視が可能になる。
・スマート蓄電
家庭用蓄電器の蓄電量の監視と制御(充電・放電)が可能になる。
・EV(電気自動車)充電
電気自動車の充電が可能になる。
・スマートライティング
各部屋の照明の消費電力を監視し、点灯や消灯、調光などの制御が可能になる。
・スマート電源タップ
各コンセントの消費電力を監視し、電源の入・切の制御が可能になる。
HEMSのこれから
HEMSがエネルギー管理システムとして有効に機能するためには、機器同士の相互接続性を確保する必要がある。具体的には、メーカーの違う家電同士でシステムを構成させるために、HEMSの規格を統一させなければならないということである。
2011年、HEMSの標準プロトコル(通信規約・通信手順)として「ECHONET Lite(エコーネットライト)」が経済産業省によって認定され、神奈川工科大学で設立されたHEMS認証支援センターが、関連機器の開発を目指している。
また、2011年度の第三次補正予算で、異なるメーカーの機器同士であっても接続できるインターフェイスを実装していることを条件に、経済産業省がHEMSの導入支援(補助金の交付)を行うと発表したため、家電メーカーや住宅関連企業による研究開発も活発化する見込みである。
企業のHEMSへの取り組み
下記は、企業が提供しているHEMSの一例である。
・Panasonic「スマートHEMS」
「AiSEG(アイセグ)」という製品によって、エネルギーの見える化が可能になる。
・NTT東日本「FLETS ミルエネ」
他社製品と比較して、導入コストが低い。
・SHARP「電力見える化システム」
専用タブレットが付属しており、電力などの情報を確認できる他、インターネットにも接続できる。
・NEC「クラウド対応型HEMS」
利用者専用のホームページがあり、消費電力などの情報を確認することができる。
この他にも、京セラ「ハウスマイルナビィ」、積水ハウス「グリーンファーストハイブリッド」、大和ハウス「D-HEMS」、ミサワホーム「enecoco」などがある。
その他のエネルギー管理システム
HEMSの他にもエネルギー管理システムがあり、以下がそれに該当する。
・BEMS(ベムス)
ビル内の電力使用量の監視、制御をするシステム。Building Energy Management System(ビルディング・エネルギー・マネジメント・システム)の頭文字に由来する。
・FEMS(フェムス)
工場内の電力使用量の監視・制御をするシステム。Factory Energy Management System(ファクトリー・エネルギー・マネジメント・システム)の頭文字に由来する。
・CEMS(セムス)
太陽光発電所、風力発電所などを含む発電所での電力供給量の管理と、特定の地域内における電力需要の管理をするシステム。Cluster/Community Energy Management System(クラスター/コミュニティー・エネルギー・マネジメント・システム)の頭文字に由来する。