バイオマスプラントとは

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バイオマスプラント

バイオマスとは、生ごみや木質廃材、下水汚泥、作物などの生物由来の有機性資源のことです。バイオマスをエネルギー源として使うことで、CO2排出量を削減することができるほか、石油への依存度を下げ、燃料を多様化することができます。化石燃料に代わる新エネルギー源として期待されています。
バイオマスプラントでは、このバイオマスから燃料などをつくったり、そのまま電気や熱に変えることができます。

バイオマスの分類

バイオマスの分類と利用形態(図をクリックで拡大)

バイオマスには、いろいろな分類の方法があります。原料の形態では「乾燥系」「湿潤系」に分類されますし、発生状況では「廃棄物系」「未利用系」「資源作物系」に分類されます。
未利用系バイオマスには、 稲藁、麦藁、籾殻、間伐材などがあり、資源作物系には、サトウキビなどの糖質原料やトウモロコシなどのでんぷん原料があります。これらの分類によって、エネルギーへの変換方式が異なります。

 

 

 

 

バイオマスのエネルギーへの変換方式

バイオマスの利用(図をクリックで拡大)

バイオマスをエネルギーとして利用する方式には、「直接燃焼」「熱化学的変換」「生物化学的変換」の3つがあります。

(1)直接燃焼
バイオマスをまきやペレット、RDFにして直接燃焼させる方法です。
(2)熱化学的変換
バイオマスに熱や圧力を加えたり、ガス化剤と接触させたりして、気体や液体の燃料に変換する方法です。
(3)生物化学的変換
微生物の力によりバイオマスを発酵させて、メタンガスやエタノールなどに変換する方式です。

 

バイオマスプラント

バイオマスのエネルギーへの変換はバイオマスプラントで行われます。バイオマスからつくられる燃料には、ペレットなどの固体燃料、バイオエタノールやバイオディーゼル燃料などの液体燃料、バイオガスなどの気体燃料があります。

(1) 固体燃料への変換
① 木質ペレット
木質ペレットは、製材副産物を圧縮成型した小粒の固形燃料のことです。木材を粉砕して粉状にし、含水量を調整した後、圧力を加えて成型します。木材に含まれるリグニンが接着剤の役割をはたすため成型することができます。
② RDF(Refuse Deriverd Fuel)
家庭や事業者から排出された可燃性のごみを、破砕・乾燥して接着剤・石灰などを加えて練り上げ圧縮し、直径1–5cm大の円筒状のペレットに押し固めてつくる燃料です。ごみ固形燃料と呼ばれます。
ごみを直接焼却するよりも、高温・均質な燃焼を確保しやすいといわれますが、燃焼温度をこまめにコントロールするために重油が必要です。燃え残りの灰に大量の石灰が残るため、自治体にとって大きな負担となっています。

(2) 気体燃料への変換
① バイオガス
食品残渣、家畜ふん尿、下水汚泥などをメタン発酵させ、発生したバイオガスをエネルギーとして利用します。

(3) 液体燃料への変換
① バイオエタノール

バイオエタノールの製造工程(図をクリックで拡大)

バイオエタノールは、糖質やでんぷん、木質セルロースなどを原料とするアルコール燃料です。バイオエタノールそのものを直接ガソリンに混合して燃料として使う方式と、バイオエタノールから添加剤(ETBE)を製造し、これをガソリンに配合する方式があります。
バイオエタノールの製造工程は、原料の種類によって異なります。サトウキビ、ビートなどの糖質原料の場合は、酵母を用いて発酵させ、その後、蒸留・脱水の工程を経てバイオエタノールを製造します。トウモロコシ、さつまいもなどのでんぷん質原料では、でんぷんを糖化する工程が加わります。
廃材、間伐材、稲わら、麦わらなどのセルロース系原料では、糖化の前に前処理が加わります。これによって、原料の中から糖化できる成分を抽出します。エタノール製造の効率性を左右する重要な工程となっています。

 

② バイオディーゼル燃料
バイオディーゼル燃料は、菜種油、大豆油、パーム油などを原料とする軽油代替燃料です。
家庭や飲食店、食品工場などから出る使用済みてんぷら油を回収し、バイオディーゼル燃料をつくる取り組みが進められています。この燃料は公用車や公営バス、ゴミ収集車などに利用されます。

 

バイオマスの電気や熱としての利用

(1)バイオマス発電
バイオマス発電では、バイオマスを「直接燃焼」したり「ガス化」して発電します。
(2)バイオマス熱利用
バイオマス熱利用は、バイオマス資源を直接燃焼し、廃熱ボイラから発生する蒸気の熱を利用する方法や、バイオマス資源を発酵させて発生したメタンガスを都市ガスの代わりに燃焼して利用する方法があります。

バイオマスエネルギーの課題

バイオマス燃料のなかでも特にバイオエタノールは、トウモロコシのでんぷん質やサトウキビの糖質など、食用と同じ部分を原料としています。地球上には、多くの食糧不足の地域があり、食料をバイオマスエネルギーとして利用することは、悩ましい問題となっています。日本では、廃材や稲わらなど植物の食べられない部分に含まれる「セルロース」を使ったバイオエタノール製造への取組が進められています。

用語解説

■メタン発酵
メタン発酵とは、有機物が酸素のない状態でメタン生成菌を主体とする微生物の作用によって分解され、メタンを主成分とするバイオガスを発生するプロセスのことです。
有機物からエネルギーを回収することができ、非燃焼式のため有害物質が発生しないなどの特長があります。
メタン発酵は、水分の多い物質から直接エネルギーを取り出せる唯一の技術であるため、有機性廃棄物の新しい処理法として注目されています。

■カーボンニュートラル
バイオマス中に含まれる炭素は、もともとは植物としての成長過程で光合成により大気中から二酸化炭素を吸収したものです。そのため、バイオマスのエネルギー利用に伴って排出される二酸化炭素は、バイオマスの消費と育成のバランスをとる限り、大気中の二酸化炭素濃度に変化を与えないとみなされています。この考え方をカーボンニュートラルといいます。

 

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