取水塔
取水塔とは、河川や貯水池、ダムなどの水面・水深が安定している水源から、原水をくみ上げるための施設。
浄水場の設備の一つとして設置されているものや、農業用水・工業用水に利用する原水をくみ上げるために設置されているものなど、用途は様々である。
取水塔を設置できる水源地の条件は「水深が2メートル以上」「水位の変化が大きい」の2点である。大きな水の流れがない貯水池などでは円形の取水塔が主流だが、河川に設置する場合は水流の抵抗を少なくするために楕円形の取水塔が建てられる。
取水塔には、塔の壁面に取水口が設けられており、取水口の外側には土砂の混入を避けるために格子(スクリーン)が設置されている。また、土砂混入を防ぐそのほかの工夫として、原水の流入速度は河川の場合15-30cm/s、湖沼では1-2m/sに制限されている。
大規模な取水や、選択取水(任意の水深からの取水)が可能であるというメリットがある一方、構造物が大きくなるというデメリットもある。
取水塔には、固定式と可動式の2種類がある。それぞれの特徴は以下の通りである。
固定式…水深がそれほど深くない水源地で用いられる。基部には洗掘(せんくつ)※を防ぐための措置が施されており、水深に応じて段階的に複数の取水口が設けられている。どの深さの取水口を用いるか選択することで、任意の水深から取水できるようになっている。
※洗掘…水流や波により、河床や河岸などの土砂が洗い流されること。
可動式…水深が深く、構造物を河床に固定することが難しい場合の水源地で用いられる。水位の変動にあわせて取水口が上下に揺れ動くことで、表層の取水ができるようになっている。