渦巻ポンプ
吸入口と排出口を持った渦巻き(カタツムリの殻)型の容器(ケーシング)の中で羽根車(インペラー)を高速で回転させることで液体に作用する遠心力を利用し吸入口から吸水し、排出口から液体を移送するポンプ。渦巻きポンプは工業用、農事用、家庭用など最も普及しているポンプ。
ポンプを駆動する前にケーシングに移送する液体をあらかじめ供給(呼び水)しなければならない。インペラーを回転させるモーターの軸はケーシングを通して取り付けられ、この軸を支えるための軸受け(ベアリング)がある。容器と回転する軸の間隙から液が漏れるため軸シールで防ぐ。モーターの駆動によって軸シールは摩耗するため、長時間使用すると液漏れが生じるため定期的な軸シールの交換が必要である。
インペラーは液体に遠心力を与える部品で、液体を効率よく移送するために羽根の両側に側板(シュラウド)が設けられている。羽根の両側に側板があるクローズインペラーの効率は良いが異物の混入によってポンプが詰まる。羽根の前面、または後面のシュラウドがないセミオープンインペラーでは効率は落ちるがスラリーや繊維物などの異物を含む液体を移送できる。
渦巻きポンプはインペラーの外周部が遠心力の作用で高圧になり、中心部は遠心力がほとんど作用しないため低圧となる。よって液体は中心部から吸入される。高速に回転するインペラーの羽根の進行方向には液体によって高圧になるが羽根の裏側は低圧になり、羽根の形状によって局所がかなり低圧となり減圧沸騰という現象を起こす。この現象をキャビテーションといい、この減圧沸騰によって液体は蒸気となり泡が発生し、インペラーは泡の中を空転し効率が低下する。また、この泡がインペラーの表面で消滅するときにジェット流が発生しエロージョン(壊蝕)となり、また泡が消滅するときの圧力波によって騒音・振動の原因となる。キャビテーションを防ぐには液体の吸入量を大きくすることが必要である。