マンガン砂
上水に含まれるマンガンを除くために使われる酸化マンガンを被覆したろ過砂で、日本水道協会規格JWWAA-103に規定されている。マンガンには毒性があり、水道法による水質基準では0.05mg/l以下にしなければならない。マンガンは自然界に存在し、クラーク数では12位と比較的多量にあるため天然水中に含まれている。
戦前はろ過砂による緩速濾過でマンガンは除去されたが、戦後になって水道水、工業用水の需要が増加し、急速濾過になるとマンガンが除去できなくなり、また塩素による消毒が必要になった。この塩素によってマンガンが酸化され水和二酸化マンガン(MnO2・mH2O)となり「黒い水」があらわれるようになった。急速ろ過砂を塩化マンガンと過マンガン酸カリウムによって繰り返し処理し、ろ過砂の表面に酸化マンガンの被覆を形成したマンガン砂と消毒に用いる塩素によって急速濾過してもマンガンが除去できるようになった。