工事成績評定を上げる方法【vol.4】ポイント5~7.会社と個人のスキルアップ

更新1121

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160509_pixta_7642660_M今回は「工事成績評定点」を上げるための7つのポイントのうち、最後の3つのポイントを解説しよう。この3つはいずれも個人、そして会社のレベルを上げることで評定点をあげようというものだ。

 

いかにして能力を高めれば事成績評定点がアップするかについて解説していこう。

 

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登場人物
地場建設会社 昭平建設
青木建一 現場担当 25歳
今野真一 係長 30歳
武上幸一郎 工事課長 40歳
岩下厳五郎 工事部長 50歳
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会社からのバックアップ体制を構築する

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今野;僕はまだまだ経験が浅いので、現場でクレームや品質問題などの問題が起きるとどうすればよいのか、わからなくなることがあります。
武上;そんなときは現場単体で施工するのではなく会社全体でフォローしなければならない

 

今野;そうしていただけると私もありがたいです。
武上;工事進行をバックアップすることは、顧客にとっても大きな安心材料だ。その結果、工事成績をアップさせることができる。

 

今野;具体的にはどうすればよいのでしょうか。
武上;実際に会社が現場をフォローする方法を列挙しよう。

 

 現場支援体制の確立、品質証明員の配置
 全社体制で実施していることをアピールする(店社安全パトロール時に発注者に顔をだす、報告書を提出するなど)
 提出書類の書式(フォーマット)を作成し、書類作成を迅速に行えるようにする
 協力会社のリストを作成し困ったときにすぐに依頼できるようにする
 過去の提出書類実績を整理、ファイリングしておき、誰でも検索し、活用できるようにする
 現場担当者からのSOSを出しやすい会社の雰囲気を作る(会議、社内勉強会、懇親会など)
 工事成績チェックリストによる定期的な現場チェック
 ベテラン技術者で工事支援部を作る
 周辺の社員が事務作業、軽作業の支援をする
 配置技術者を2名以上にし、バックアップ体制を作る
 配置技術者が1名の場合でも、サブ担当を任命して顧客や協力会社にも紹介しておき、いざという時にバックアップできるようにしておく
 工期初期と、竣工時にはさらに1名増員し、スタート時のスムーズな工程進行と、竣工間際の書類整理を迅速に行う
 若手社員に経験をさせ実績を積ませる
 現場見学などを行い、スキルアップを図る
 全社共通フォルダーに「書式」「施工事例」を入れる
 社内の管理基準の設定
 規格値の80%以内で管理する
 基準以上のレベルで管理する
 厳しい条件への対応支援
 施工検討会の開催
 創意工夫への支援
 提案作成のためのバックアップ体制
 他の同種工事現場を見学し参考にする
 創意工夫を実施していることを顧客にアピールする(ホームページ、パンフレットなど)
 専門工事会社のノウハウを活かす(他の現場で高得点を得た事例を聞く)
 地元対応への支援
 会社ぐるみで地域支援する
 法令遵守パトロールの実施
 店社法令パトロールの実施

個の力を磨き高める

武上;会社のバックアップは大切だが、やはり現場管理者個人の力は大切だ。
青木;私もそう思います。私自身まだまだレベルアップしなければなりません。

 

武上;現場管理者が自己研鑽し、時間管理能力、自律力を常に磨き、高め続けることで、信頼される工事現場を作り出すことができる
青木;自分自身の何をどのようにして高めれば良いのでしょうか。

(1)仕事の優先順位を考える

160509_pixta_8966727_M武上;まずは仕事の優先順位を考えて仕事ができるようにならないといけない。どうしても目の前の緊急な仕事をやってしまいがちだ。

 

青木;私は毎日毎日、打ち合わせ、書類作成などの時間に急な仕事に追われています。
武上;それは重要で緊急なことばかりしている証拠だ。重要だが緊急でないことを日々行わなければならない。新工法を勉強したり、施工結果をまとめたりなど、将来のためになることを実施する時間を作って行わなければならない。そのためにはタイムマネジメントが重要だ。

 

青木;タイムマネジメントってなんですか。
武上;タイムマネジメントの10原則は以下の内容だ。

 

1. 相手との約束だけでなく、自分との約束もスケジュール管理する
2. 仕事を始めるときには、理由、目的を事前に考える
3. 緊急でなくても重要な仕事を、優先する
4. 重要でない仕事は、緊急であっても優先しない
5. 相手の話を聞くとき、相手の意見、指示を理解する
6. 相手に話すとき、自分の意見、指示を相手に伝わるよう心がける
7. チームにおける自分の役割を明確にする
8. チームでの仕事は、全メンバーが十分納得してからスタートする
9. 各自の判断、意思決定と社内基準等の調整役を明確にする
10. 担当業務の専門知識を十分に習得する

(2)仕事を分類してやり方を考える

青木;優先順位の高い仕事をいきなりはじめて手戻りになることがあります。
武上;それは準備不足が原因だな。仕事の種類によって、進め方を事前によく考えた後、進める必要がある

 

1. 誰が行うのかを考える
・自分一人で行う仕事 → 仕事のはじめを決める
・他人と一緒に行う仕事→ 仕事の終わりを決める
2. 何を行うのかを考える
・自分が今やる仕事、自分が後でやる仕事、他人がやる仕事に分類して振り分ける
3. どのような種類の仕事かを考える
・継続的に行う仕事→ チェックシートを作り、仕組みにする
・企画的に行う仕事→ 間を空けずに継続して実施する
4. 外部への仕事か、内部への仕事かを考える
・組織外部への仕事→ 仕事の質を上げる
・組織内部への仕事→ 仕事の仕方を効率化する

(3)正しい習慣を身につける

武上;工事成績が高い人は、正しい習慣が身についている人だ。
青木;私は自分でも正しい習慣が身についていないと感じます。勉強や読書の習慣が身につかないし、逆にテレビやインターネットをついだらだらと見てしまいます。どうすれば、正しい習慣を身につけることができるのですか。

 

武上;そのためには、きっかけ、行動、報酬の3つに意識するとよい。ある「きっかけ」があると「行動」を起こし、その結果「報酬」があるとその「行動」を続けることができるんだ。

 

たとえばお酒を飲む習慣がある人は次のようだ。
きっかけ;夜お風呂上がり
行動;ビール
報酬;のどごしの爽快感

 

一方、ジョギングの習慣がある人は次のようだ。
きっかけ;朝目覚めてトレーニングウェアを見る
行動;ジョギング
報酬;ランニングハイ(高揚感)

 

つまり、良い習慣を身につけるためには
1.シンプルでわかりやすいきっかけをつくること
2.具体的な報酬を設定すること
が重要だ。
止めたい習慣(行動)があるときは、行動を変えても同じ報酬を得られるようにすれば良い。

 

例えば晩酌を止めたい人は次のようにするとよい。
きっかけ;夜お風呂上がり
行動;ビールを飲まずに炭酸水を飲む
報酬;のどごしの爽快感

 

<本を読むことを習慣化させる>
きっかけ;毎月1回の会議
行動;1冊読書をして、800字程度の要約と感想文を発表する
報酬;読書することでポイントがつき、それがたまると旅行券がもらえる

 

<現場に整理、整頓、清掃を習慣化させる>
きっかけ;17時に現場で音楽を鳴らす
行動;分担を決めて掃除をする
報酬;5S表彰をする、仕事が効率化する

創意工夫、技術提案を推進する

武上;品質、原価、工程、安全、環境の各項目に対して創意工夫をしたり、新たな提案をすることは工事の質を高めるために重要だ。

 

青木;僕はつい、いつもと同じ方法で施工してしまいます。どんな創意工夫がよいのか悩んでしまいます。
武上;以下のような内容で創意工夫提案を考えてみよう

 

 新技術に取り組み、職員講習会を現場にて開催するとさらなるPRとなる
 VE提案を多数提出する(受注金額1000万円に対して1件程度)
 ICT(情報通信技術)を活用した情報化施工を取り入れる
 NETIS登録技術の活用
 建設業災害防止協会が定める指針に基づく安全衛生教育を実施する
 CO2排出量の管理、削減を実施する
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会社が工事現場をバックアップすること、よい習慣を身につけること、常に創意工夫を考えること-は、工事成績をアップさせるためには重要だ。
ここまで解説した7つのポイントを意識して工事を進めることで必ず工事成績を向上させることができる。

降籏 達生 ふるはた たつお

建設技術コンサルタント。ハタ コンサルタント株式会社 代表取締役。
ハタ コンサルタント株式会社 http://www.hata-web.com/
映画「黒部の太陽」に憧れて熊谷組に入社。ダム工事、トンネル工事、橋梁工事などの大型土木工事に参画。阪神淡路大震災を契機に技術コンサルタント業をはじめる。
建設技術者4万人の研修・育成、1,000件を超える現場指導を手がけ、建設業界からの信頼が厚い。
編集長をつとめるメールマガジン「がんばれ建設~建設業業績アップの秘訣~(http://www.hata-web.com/mail_magazine.html)」は、読者数12,000人を誇る、日本一の建設業向けメルマガとなっている。