協力会社との交渉手法技術営業の進め方【vol.1】手ごわい相手と交渉する技術

更新1121

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(12)協力会社との交渉手法技術営業の進め方【vol.1】手ごわい相手と交渉する技術

作業着を着て微笑む男性協力会社とうまく交渉することで、原価を下げることができるし、現場で働く人たちのモチベーションを上げることができる。
一方交渉が決裂すると、工事に取りかかれないし、現場のやる気も下がってしまう。

 

今回は、手ごわい協力会社といかにして生産的に交渉すれば良いのかを解説しよう。

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登場人物:
地場建設会社 昭平建設
・青木 建一 現場担当 25歳
・今野 真一 係長 30歳
・武上 幸一郎 工事課長 40歳
・岩下 厳五郎 工事部長 50歳
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相手の一番欲しいことをつかむ

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武上;顧客との交渉は重要だが、協力会社とうまく交渉して仕事を進める技術も必要だ。つい、力で押し切ろうとするものだ。
青木;私は、協力会社との交渉では相手になめられないようにしないといけない、と先輩に言われたことがあります。

 

武上;昔はそのような交渉でやっていけたこともあったが、これからはそんな交渉方法だけでは通用しない。
特に人手不足で協力会社が仕事を選ぶようになってくると、さらにうまい交渉術が必要になってくる。
まず大切なことは「相手の一番欲しいことをつかむ」ことだ。

 

今野;協力会社が一番欲しいものとは、お金ではないのですか。
武上;もちろん「金額」は重要だ。しかし金額は少なくても「安定した仕事」が欲しい人もいるだろうし、「困難な仕事」にやりがいを感じる人もいる。
今野;協力会社の隠れた欲求や利害を知ることが必要なのですね。

 

武上;そんなとき「本当のところ、何ですか」ということばがキーワードだ。
そう言われると「実は、安定して仕事を発注してくだされば、今の見積もりを10%下げることができます」などと本音がでてくる。
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論理的に話す

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作業着男性手元武上;次に重要なことは「論理的に話す」ことだ。
青木;感情的になるな、ということですね。

 

武上;感情的にならないことは当然なこととして、曖昧な表現は避けた方がよいだろう。
「きちんと」とか「いつものように」などということばを使うと、後で行き違いが生じることになる。
そのうち感情的になって怒鳴ったりすると最悪だ。

 

今野;「とにかく見積もりを下げて欲しい」でなく「現在1班3人体制で工事を予定されていますが、●●の機械を使うことで、1班2人体制で工事をすることが可能です。そうすれば総額50万円原価が下がると思います」のような感じですね。
武上;今野君、そのとおりだ。
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交渉が決裂したときの事前策を考える

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武上;次に「次善策を考える」方法を考えよう。交渉が決裂しそうになったときに使う方法だ。

 

青木;僕は協力会社との交渉のとき、相手が怒って席を立たれたことがあります。
武上;そんな時には、こちらから「交渉が決裂したときの次善策」を考えておく必要がある

 

今野;「あなたはいつも資材の発注が遅く最終的に手待ちとなり余分な経費がかかってしまい、いつも赤字になるんです」と言われたら「確かにそういうことがあったことは事実ですので申し訳ありませんでした。今回はそうならないよう、すでにすべての資材は手配済みです。ですから今回は発注遅れによる手戻りはありません」などと切り返すのですね。
武上;相手に痛いところをつかれたときに、いかに「次善策」を考えておくかが重要だ。
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現実的な期待を描く

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考える男性青木;「半値8掛け」ということばを聞いたことがあります。相手の見積もりを半額にして、さらに80%にしてもらえと。
武上;今はその方法では交渉はできないぞ。現実的な目標を設定してその金額を交渉のスタートにするんだ。
青木;こちらで正確な原価をつかんでおくということですね。

 

武上;そうだ。
相手の見積金額から交渉をスタートさせるのではなく、自分でも積算をして金額を設定しておき、その方法よりも工夫をしてもらい金額を下げることができないか、を交渉するんだ。
そのとき「もし~だとしたら」話法が効果的だ。
今野;どのように使うのですか。

 

武上;「もし材料を・・・に変更したらどうでしょうか」「もし注文数量を倍にしたらどうでしょうか」「もし60日後の手形支払いでなく、20日後の現金支払いだったらどうでしょうか」というように使うとよい。
今野;なるほど、勉強になります。

 

武上;現実離れした金額をこちらが言ってしまうと、相手からは「この人は原価を把握していないな」と思われ、逆に簡単に譲歩せざるを得なくなるので気をつけよう。
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沈黙はダメ

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武上;沈黙は「金」ということばがあるが、沈黙は最終手段として有効なことはあるが、生産的に交渉しようと思うと、かえって相手のペースに乗ってしまい、いいなりになってしまうこともある。
青木;沈黙は「禁」ということですね。
武上;うまくいうね。そのとおりだ。
特に思いもよらないことが起きると黙ってしまう人がいるが、そうすればことの重大性と、相手の迫力に押されてしまう。
青木;私は若いのでつい圧倒されてしまうのですが、どうすれがそれを防げますか。

 

武上;①事実を確認すること、②ダメなことはあいまいにせず「ダメです」ということ、そして③あきらめずに次善策を提案すること、だ。

 

青木;私は「ダメ」と言えないことが多いです。
武上;ダメと言わないから相手に余計な期待を感じさせてしまうんだ。「ダメなものはダメ」ということは重要だよ。
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生産的に交渉するために重要なことは「相手の本音をつかむこと」「論理的に話すこと」「次善策を考えること」「現実的に話すこと」「沈黙しないこと」だ。
そのためにもしっかりした準備が欠かせない。自ら積算して原価をつかむこと、別の工法を考えておくこと、などの準備をしておくことで交渉を決裂させずに早期に妥結させることができる。

降籏 達生 ふるはた たつお

建設技術コンサルタント。ハタ コンサルタント株式会社 代表取締役。
ハタ コンサルタント株式会社 http://www.hata-web.com/
映画「黒部の太陽」に憧れて熊谷組に入社。ダム工事、トンネル工事、橋梁工事などの大型土木工事に参画。阪神淡路大震災を契機に技術コンサルタント業をはじめる。
建設技術者4万人の研修・育成、1,000件を超える現場指導を手がけ、建設業界からの信頼が厚い。
編集長をつとめるメールマガジン「がんばれ建設~建設業業績アップの秘訣~(http://www.hata-web.com/mail_magazine.html)」は、読者数12,000人を誇る、日本一の建設業向けメルマガとなっている。