技術営業の進め方【vol.2】親密力と調査力

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(11)技術営業の進め方【vol.2】親密力と調査力

客と打ち合わせする作業着男性建設技術者が持ち前の技術力を活かして営業活動をする際の5つの留意点のうち、相手との距離を縮める「親密力」相手の話をよく聞く「調査力」はとりわけ重要だ。
最初の段階でお客様の信頼を勝ち取ることが、受注につながる近道であるからだ。

 

今回は、技術者が営業をする際に必要な「親密力」「調査力」を解説しよう。

 

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登場人物:
地場建設会社 昭平建設
・青木 建一 現場担当 25歳
・今野 真一 係長 30歳
・武上 幸一郎 工事課長 40歳
・岩下 厳五郎 工事部長 50歳
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見た目と声の質が「親密力」のカギ

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今野;技術営業に5つの留意点があることはよくわかりました。私の苦手な親密力を上げるにはどうすればよいでしょうか。

 

武上;メラビアンの法則によると、話し手が聞き手に与える影響度には3つの要素があるといわれている。
1つ目は視覚情報だ。これは話し手が聞き手にどう映っているかで、その影響度は55%。見た目、表情、しぐさ、視線などだ。
2つ目は聴覚情報だ。話し手の声の質で、その影響度は38%。声の質、速さ、大きさ、口調だ。
3つ目は言語情報だ。話し手が話す内容で影響度は7%。言葉そのものが持つ意味だ。

 

今野;視覚情報と聴覚情報の影響度を加えると93%で、相手に与えるインパクトの大半を占めるとは驚きです。てっきり何を話すのかという言語情報が重要だと思っていました。
武上;今野君は相手を気づかって話そうと思いすぎかもしれないな。それよりも見た目や声の質を変えるだけで相手の印象度は変わるものだよ。青木君の親密力が高いのは、表情や声が明るいからだろうな。
青木;僕は元気だけが取り柄なんです。
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自社と自分を語れることが「親密力」

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家の模型を笑顔で示す作業着男性武上;ところで今野君はわが社の特徴を3つ言えるかい。
今野;50年の歴史があること、技術資格者が20名いること、チームワークがよくここ3年間で離職者が0であること、でしょうか。

 

武上;数値を用いて言っているところがいいね。このように相手に自社のことを3つ程度にまとめていつでもいえることも親密力の一つだ。短期間で相手に自社のことをわかってもらえるからね。次に青木君、次に自分自身の特徴を3ついってごらん。
青木;えっ、自分の特徴ですか。考えたことはないです。

 

武上;お客様は建設会社と契約するが、担当する社員から買うともいえる。「あなたから買いたい」と言われるようになってこそ技術営業だ。
青木;そのためには自分自身の特徴を知ってそれをお客様にしっかり伝える必要があるのですね。私の特徴は、スポーツが好きなこと、資格を持っていること、友人が多いこと、でしょうか。
武上;固有名詞や数値を使って表現するとどうなるかな。

 

青木;中高6年間サッカーをしていたこと、漢字検定資格を持っていること、友人が50人近くいること、でいいですか。
武上;とてもいいよ。その3つを聞くと青木君の人柄がなんとなくわかるね。
このように自社と自分のことを的確に伝えることで、相手との距離が縮まるものだ。それこそが親密力なんだ。
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「調査力」を高めるため相手の話を聞く4つの質問

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打ち合わせ武上;一方、青木君は、相手の話を聞くことが苦手ということだが、どうしてうまく聞けないのだと思う?
青木;すぐに自分のことを話しすぎてしまうからでしょうか。特に相手の方があまり話さない方だと、つい気を使って自分ばかり話してしまうのです。

 

武上;相手の話を聞くためには、うまく質問することが大切だ。そのためには相手の話をうまく引き出すための4つの質問があるぞ。

 

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1.「今回、○○なわけですが、今の××に何かご不満(お悩み)でも、おありなんですか?」
<事例>
「今回、トイレをリフォームしたいと言う事ですが、今のトイレに何かご不満でもおありなのですか?」

 

2.相手の言いたいことを、5W2Hを用いて全部聞き出す
<事例>
・WHY(なぜ)→なぜリフォームするのですか?
・WHEN(いつまでに?)→いつまでにリフォームする必要がありますか?
・WHAT(何を?)→トイレの何をリフォームしますか?
・WHERE(どこで?)→どこのトイレをリフォームしますか?
・WHO(誰が?)→このトイレは誰が使われるのですか?
・HOWTO(どのように?)→どのようなリフォームをご希望ですか?
・HOWMUCH(予算は?)→ご予算はいくらですか?

 

3.あいまいな発言を具体的にする質問法
<事例>
「例えば?」
「(もう少し)具体的にいうと?」
「とおっしゃいますと」
「かみ砕いていうと?」
「他にはありませんか?」
「それはどうしてですか?」
「予算50万円とのことですが70万円だと、高すぎますか?」
「2月28日までに工事が必要とのことですが、3月10日だと遅すぎますか?」

 

4.それで全部か?
<事例>
「それでは、今までお伺いした事を、ご確認させて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」
「お客様のご要望は、これで全部ということでよろしいですか?」
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青木;なるほど、型を決めて聞くようにするとうまくいきそうですね。一度やってみます。
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見た目と声の質に留意し、自社と自分の特徴をきちんと話すことで「親密力」が高まり、相手との距離が縮める。
さらには質問の型を身につけ相手の本音を聞き出すことで「調査力」が高まる。

 

この2つを実践することで、技術営業初期段階の受注の確率を高めることができる
「親密力」「調査力」は苦手な技術者が多いためぜひ身につけてほしい。

降籏 達生 ふるはた たつお

建設技術コンサルタント。ハタ コンサルタント株式会社 代表取締役。
ハタ コンサルタント株式会社 http://www.hata-web.com/
映画「黒部の太陽」に憧れて熊谷組に入社。ダム工事、トンネル工事、橋梁工事などの大型土木工事に参画。阪神淡路大震災を契機に技術コンサルタント業をはじめる。
建設技術者4万人の研修・育成、1,000件を超える現場指導を手がけ、建設業界からの信頼が厚い。
編集長をつとめるメールマガジン「がんばれ建設~建設業業績アップの秘訣~(http://www.hata-web.com/mail_magazine.html)」は、読者数12,000人を誇る、日本一の建設業向けメルマガとなっている。