受注で勝つ建設業の技術提案【vol.2】理科系の作文技術とは

更新1121

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(9)受注で勝つ建設業の技術提案【vol.2】理科系の作文技術とは

資料を前に考える男性評価の高い技術提案書の書くための3つのポイントは次の3つだ。

 

①わかりやすい文章で書くこと
②適切なツボを見つけること
③効果的な対策を考えること

 

今回は、①わかりやすい文章で書く、を解説しよう。
いくらよい提案であっても、相手に理解されなければ決して評価されない。
理科系の作文技術を用いて、わかりやすい文章を書くためのコツを身につけよう。

 

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登場人物:
地場建設会社 昭平建設
・青木 建一 現場担当 25歳
・今野 真一 係長 30歳
・武上 幸一郎 工事課長 40歳
・岩下 厳五郎 工事部長 50歳
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主語と述語を明確にせよ

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青木;わかりやすい文章を書くためのコツはなんですか。
武上;まずは主語と述語を明確にすることだ。主語は文頭、述語は文末にするのがよい。
青木;主語とは「●●は」とか「●●が」という部分。また述語とは、主語の動作や作用や性質などを述べた語句ですね。

 

武上;そうだ。例えば次の文章の主語と述語は何だろうか?

 

「アナログ情報をまとめることができ、かつ、わかりやすく、また、容易に習得できるKJ法は、QC手法の発展に伴い、多くの人たちに利用されるようになった。」

 

青木;主語は「KJ法は」、述語は「利用されるようになった」ですね。
武上;そのとおりだ。しかし主語が文の中ほどにあるため、少々読みにくくなっている
ではこれを主語が文頭、述語が文末の2つの文章に分けてごらん。

 

青木;「KJ法はアナログ情報をまとめることができ、かつ、わかりやすく、また、容易に習得できる。そのためKJ法は、QC手法の発展に伴い、多くの人たちに利用されるようになった。」でいいですか。

 

武上;そのとおりだ。では、次の主語と述語は何だろうか?

 

「この工法は、論理的に証明されておらず、どちらかと言えば多くの実績に裏付けされて広まっていった。」

 

青木;主語は「この工法は」述語は「広まっていった」ですか?
武上;「証明されておらず」も述語だよ。つまり主語が1つ、述語が2つあるんだ。
これを主語が文頭、述語が文末の文章に書き換えるとどうなる?

 

青木;「この工法は、論理的に証明されていない。この工法は、どちらかと言えば多くの実績に裏付けされて広まっていった。」ですか?
武上;そうだ。よくできたね。ではこれはどうだろう。

 

「東京に本社を置きながら全国展開を目指して支店展開をしている○○建設は、あと施工アンカー工事を主体とした建設会社である。」

 

これもやはり、主語の「○○建設は」が文の中ほどに来ているので読みにくい
これを主語が文頭の1文に書き換えるとどうなる?
青木;うーんわからないです。

 

今野;「○○建設(東京に本社を置きながら全国展開を目指して支店展開をしている)は、あと施工アンカー工事を主体とした建設会社である。」ではどうですか。
武上;今野君さすがだね。(  )書きで説明文を書く手法を補足書きというんだ。
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わかりやすい見出しをつけよ

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作業着男性2人武上;続いて見出し付けをやってみよう。
青木;見出しとはタイトルのことですか。
武上;そうだ。

 

提案書に一目でわかるタイトルをつけることで、読者があらかじめ提案のイメージを持った上で読むことができるんだ。
タイトルはあまり長いとよくないので、25字以内がいい。
ポイントは「『対策』による『効果』」と書くことだ。

 

例えば、鉄筋スペーサーを増設するという提案であれば、タイトルは「鉄筋スペーサーの増設によるかぶりの確保」となる。
また「交差点にガードマンを追加配置する」という提案であれば、「ガードマンの追加配置による交通事故の防止」となる。
青木;なるほど、タイトルがいいと決まりますね。

 

武上;「2階スラブにコンクリート添加剤として高性能減水剤を使用する。」という提案だとどんなタイトルがいいと思う?
青木;「高性能減水剤の使用による品質の向上」ですか。
武上;効果が「品質の向上」ではあまりに漠然としているので、ひび割れ低減効果を考え「高性能減水剤の使用によるひび割れの防止」の方がいい。
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一般論、事実、意見を書き分けよ

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道路工事武上;次に一般論と事実と意見をかき分ける方法について話をしよう。
たとえばみかんが甘いことを、一般論、事実、意見に書き分けると次のようになる。

 

・一般論→一般に、紀州みかんは、近畿地方では甘いと言われている。
・事実→このミカンの糖度は10度である。
・意見→私は、このみかんは、甘いと思う。

 

青木;なるほど、同じみかんのことでも伝え方が異なるのですね。
武上;では同じように「現場周辺の道路は、交通量が多い」という文章を一般論、事実、意見でかき分けて欲しい。

 

青木;わかりました。
・一般論→一般に現場周辺の道路は交通量が多いと、地元の方々の間で言われている。
武上;いいぞ、その調子だ。

 

青木;次に事実ですね。
・事実→現場周辺の道路は、交通量は500台/hである。

 

武上;これではだめだ。
まず現場周辺ということばがあいまいだ。
さらに交通量は時間帯や曜日、さらに月によっても変わるだろう。
それを500台/hと言い切るのは事実とは言えない

 

今野;「現場南側の国道○号線は、平日朝8時~10時の交通量が500台/hである」でどうですか。
武上;OKだ。

 

青木;意見は簡単です。
「私は、現場周辺の道路は交通量が多いと思う」
ですね。

 

武上:そうだ。このように、一般論なのか、事実なのか、意見なのかを明確に書き分けることが重要だ。
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理科系の作文技術の基本は「簡潔明快に表現」することだ。
短文で、事実を定量化して記載するのがよい
また、補足書きやタイトルのつけ方など、学校では学ばない理科系独特の作文技術がある。
しっかり学び、身につけよう。

降籏 達生 ふるはた たつお

建設技術コンサルタント。ハタ コンサルタント株式会社 代表取締役。
ハタ コンサルタント株式会社 http://www.hata-web.com/
映画「黒部の太陽」に憧れて熊谷組に入社。ダム工事、トンネル工事、橋梁工事などの大型土木工事に参画。阪神淡路大震災を契機に技術コンサルタント業をはじめる。
建設技術者4万人の研修・育成、1,000件を超える現場指導を手がけ、建設業界からの信頼が厚い。
編集長をつとめるメールマガジン「がんばれ建設~建設業業績アップの秘訣~(http://www.hata-web.com/mail_magazine.html)」は、読者数12,000人を誇る、日本一の建設業向けメルマガとなっている。