今すぐできる建設業の安全確保【vol.3】うっかりしていても事故を起こすな

更新324

  1. 建設・設備求人データベースTOP>
  2. 施工管理>
  3. 施工管理のテクニック>
  4. 今すぐできる建設業の安全確保【vol.3】うっかりしていても事故を起こすな

(7)今すぐできる建設業の安全確保【vol.3】うっかりしていても事故を起こすな

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ビル建設現場建設業でも「ヒューマンエラー」をなくすことは重要なことだが、人間なのでエラーをゼロにすることは不可能だ。
そのため、ヒューマンエラーを起こしても、事故につながらないように工夫することが大切だ。
第3回は、働く人がついうっかりしても事故につながらないようにするためにどうすればよいかを考えてみよう。

----------
登場人物:
地場建設会社 昭平建設
・青木 建一 現場担当 25歳
・今野 真一 係長 30歳
・武上 幸一郎 工事課長 40歳
・岩下 厳五郎 工事部長 50歳
----------

回っている洗濯機に手を入れると、なぜ回転が止まるのか

----------
岩下「これまでヒューマンエラーについて話をしてきたが、仮にぼんやりしても、あわてても事故にならないようにしなければならないぞ」
今野「不安全行動をとっても、事故にならないようにするためには、不安全状態をなくせばいいのですね」
武上「そうだな。不安全状態をなくすための方策にフールプルーフフェイルセーフという考え方がある」
青木「なんだか難しいことばですね」

武上「フールプルーフとは、製品、機械、システムの設計において、作業者が誤った操作をしないように配慮して設計するという考え方だ
作業者は使い方を理解していない状態でも操作するし、熟知している場合でも集中力が低下すれば操作を誤ってしまうものだ。
そういった場合でも安全性が確保できるよう事前に対策を講じ予防することがフールプルーフの考え方だ。」
青木「フールとは、エイプリルフールのフールですね。バカとか愚か者という意味ですね。プルーフとは防ぐという意味。ウォータープルーフとは時計などで防水と意味ですね」
武上「そうだよ。バカ、つまり失敗をしないようにする、という意味だ。作業者が誤操作をしようとすることをあらかじめ想定し、そのような失敗ができないようにするという考え方だ。これは「作業者はついうっかりするものだ。」ということを大前提にして失敗やミスを予防しようとする考え方だ。」

青木「つまり僕のようなぼんやりしている者が作業をしても、ミスをしてけがをすることがないようにするということですね」
武上「フールプルーフの考え方を用いて安全に配慮している事例はいくつもあるぞ。たとえば、バッテリーが正しい向きにしか入らないデジタルカメラ。ドアが開いた状態では加熱できない電子レンジ。ギアがドライブに入った状態ではエンジンが始動しない自動車。フタを閉めないかぎりドラムが回転しない洗濯機。人が座った状態でないと動かないウォシュレットなどがその事例だ。」

青木「なるほど、洗濯機がまだ回っているのにあわて者の僕が手を中に入れようとすると、自動的に回転部分が止まり、手が巻き込まれないようになっているのですね」
武上「飛行機のコックピットでは、パニックに陥っても操作を間違えないように、その用途によってレバーの形状が異なっている。長年の経験でレバー形状を手が覚えているため、間違えないのだ。また病院で患者に提供するガスのつなぎ方を取り違えないよう、ガスによってコネクターの形状を変えるのもフールプルーフだよ」

今野「工事現場においては、フールプルーフの考え方に基づいて、次のような「もの」の5Sをすることができる。

防火扉が開いたままにならないように、不要な道具や資材をどける(整理)
緊急時に慌てていても、避難場所が誰でもわかるように大きくわかりやすい看板を設置する(整頓)
緊急時に操作ミスをしないように重機のレバー形状を決める(整頓)
緊急時に走って避難したとしても、滑らないレベルにまで避難路の清掃をしておく(清掃)
計器のデザインを誰でもわかり間違えないようなデザインにする(整頓)
----------

ストーブを転倒させると、なぜ火が消えるのか

----------
配電盤を確認する男性武上「フェイルセーフとは製品、機械、システムにおいて故障や誤操作によるトラブルが発生することをあらかじめ想定し、トラブルが起こっても致命的な事故や損害につながらないよう設計するという考え方だ
これは「装置やシステムは必ず故障する。作業者は誤操作をするものだ。」ということを大前提にして問題を緩和しようとする考え方だ。」

今野「僕のようなあわて者がついうっかり失敗しても、それが事故につながらないようにするということですね」
武上「そうだ。自動車のエンジンは、故障した際にはエンジンの回転が制御できない状況にならないように、回転を停止して車を止める。石油ストーブは、転倒すると火災にならないように、自動的に消火する。鉄道の踏切は、停電した場合には人や車が進入できないように、遮断機が下がるようになっている。ヘアドライやーは、一定温度以上に達するとやけどしないように、温度ヒューズが溶断し、停止する。」
青木「工事現場に例えるとどういうことになりますか」

武上「立ち入り禁止区域に誤って入ってしまっても、それを察知しクレーンや重機がストップする開口部や弱点部分から転落しても、防護ネットで命を救う。たとえ災害に遭っても、氏名がわかるようにヘルメットに氏名、血液型を記載する、などが挙げられるね」
今野「人にはついうっかりがつきものなので、たとえそれがあっても事故にならないよう、日々の現場で工夫するようにします」
----------

たとえヒューマンエラーを起こしても、事故につながらないようにするために、フールプルーフ、フェイスセーフの考え方は重要だ。
だれがどんな状況で作業していても、事故が起こらないような現場を作り上げたいものだ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

降籏 達生 ふるはた たつお

建設技術コンサルタント。ハタ コンサルタント株式会社 代表取締役。
ハタ コンサルタント株式会社 http://www.hata-web.com/
映画「黒部の太陽」に憧れて熊谷組に入社。ダム工事、トンネル工事、橋梁工事などの大型土木工事に参画。阪神淡路大震災を契機に技術コンサルタント業をはじめる。
建設技術者4万人の研修・育成、1,000件を超える現場指導を手がけ、建設業界からの信頼が厚い。
編集長をつとめるメールマガジン「がんばれ建設~建設業業績アップの秘訣~(http://www.hata-web.com/mail_magazine.html)」は、読者数12,000人を誇る、日本一の建設業向けメルマガとなっている。