今すぐできる建設業の安全確保【vol.1】君が朝寝坊する原因は何だ

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工事現場「安全第一」という言葉があるように、工事現場ではそこで働く人たちの安全を守ることが最重要課題だ。
第1回は、建設業における安全の重要性、そして事故が起こる原因とは何かについて、考えてみよう。

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登場人物:
地場建設会社 昭平建設
・青木 建一 現場担当 25歳
・今野 真一 係長 30歳
・武上 幸一郎 工事課長 40歳
・岩下 厳五郎 工事部長 50歳
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建設業の災害状況とは

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岩下「青木君は、建設業の三大災害とは何か知っているかい」
青木「三大災害は分かりませんが、徳川御三家は、尾張藩、紀州藩、水戸藩。三大栄養素は炭水化物、たんぱく質、脂肪。声優御三家は水樹奈々、堀江由衣、田村ゆかり、というのは知っています」
武上「私の若いころは、新御三家といったら野口五郎、郷ひろみ、西城秀樹だよ」
岩下「私の時代の御三家は橋幸夫、舟木一夫、西郷輝彦だ」

今野「皆さん、話が古いですね。三大災害とは
1「墜落・転落災害」
2「建設機械・クレーン等災害」
3「倒壊・崩壊災害」です。

1「墜落・転落災害」とは、足場やはしごなど高いところから落ちたり(墜落)、斜面などから転がり落ちること(転落)
2「建設機械・クレーン等災害」とは、バックホー、ブルドーザー、フォークリフト、ダンプトラックなどの建設機械と接触してけがをすること。さらにクレーンそのものに当たることと、クレーンで吊った荷物に当たることだ。
3「倒壊・崩壊災害」とは、足場や仮囲いが倒れたり、ものが高いところから落下して人に接触すること(倒壊)土の斜面が崩れたり、土留めが崩れたり、積み上げた荷物が崩れること(崩壊)といいます」

岩下「今野君、説明してくれてありがとう。建設業は、全産業の平均と比較しても災害発生率が高いんだ。4日以上の休業を要する労働災害の約3割、死亡災害の約4割が建設業で発生している。そしてそのうち、この3大災害が約9割を占めているんだ。だから、3大災害をすべて防止できると災害を9割減らせることになるよ」

ヘルメットをかぶった男性2人青木「よくわかりました。ところで「労働安全衛生」という言葉をよく聞きます。労働安全とは今、説明を聞いたようにけがを防止することですが、労働衛生って何ですか」
今野「労働衛生とは病気のことだ。塗料などの成分を吸い込むことによる有機溶剤中毒、地下や地中での作業における一酸化炭素中毒及び酸素欠乏症、そして高度成長期に建てられた建築物等の建て替えに伴う解体時に発生する石綿粉じんによる工事関係者や周辺住民への影響が多く発生しているよ」

青木「ところで、先ほど岩/下部長が『4日以上の休業』、と言われましたが、なぜ4日なのですか」
岩下「労働災害によるけがや病気で仕事を通算4日以上休んだときには、労災保険によって給料の60%に当たる金額が支給されるんだ。一方、休業3日までは労働基準法に基づく災害補償制度により、会社が労働者に対する所得保障を行うんだよ。つまり、労働災害に遭った労働者に対して、休業3日までは会社負担、4日以上は労災という形での政府負担となるんだ」

武上「建設業の工事現場では、多くの会社の人が同じ現場で働く。その人たちの安全衛生を守るのは、元請会社と呼ばれる発注者から直接仕事を受注した会社の責任なんだ。我が社は元請工事が多いので、工事現場で働くすべての人の安全衛生を守る義務があるんだよ」
青木「それは責任重大ですね。ところで他社で働く人の安全も守る義務があるのは建設業だけなのですか」
武上「いや、建設業と造船業だ。この2つは同じ現場に複数の会社の人が集まってきて仕事をするという特徴がある。これに対して製造業は、工場内で働くのはその大半がその企業に所属している社員だから、社員の安全だけを守れば良いということになる」
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不安全行動と不安全状態

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岩下「青木君、それでは労働災害の原因を2つ挙げてみてくれ」
青木「先ほどは3つで今回は2つなのですね。よくわからないです。」

武上「例えば、作業足場から墜落してけがをするという災害が起きたとしよう。その原因は何だと思う?」
青木「足場を乗り越えようとしたとか、体調が悪かったとか、ですか」
武上「それは本人の責任だね。一方、設備の問題はないかな」
青木「足場の手すりが低かったとか、足場そのものが不安定だったとかですか」

武上「そうだ。本人の行動が原因で事故が起きることを『不安全行動』といい、設備上の原因で事故が起きることを『不安全状態』という。ほとんどの事故は、この2つの原因のどちらか一方もしくはその両方が原因だよ」
青木「なるほど。私が朝寝坊するとき、前日ネットを見すぎて夜更かしをしたことが原因なら『不安全行動』、目覚まし時計が故障していて起床時刻にならなかったことが原因なら『不安全状態』ですね」
武上「事故が起きる真の原因をつかむことが、安全作業にはもっとも重要なんだ」
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事故原因は「不安全行動」「不安全状態」のいずれか、もしくはその両方だ。日々この2つを意識して現場を見ることが、安全な職場を作るために重要なポイントになる。

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降籏 達生 ふるはた たつお

建設技術コンサルタント。ハタ コンサルタント株式会社 代表取締役。
ハタ コンサルタント株式会社 http://www.hata-web.com/
映画「黒部の太陽」に憧れて熊谷組に入社。ダム工事、トンネル工事、橋梁工事などの大型土木工事に参画。阪神淡路大震災を契機に技術コンサルタント業をはじめる。
建設技術者4万人の研修・育成、1,000件を超える現場指導を手がけ、建設業界からの信頼が厚い。
編集長をつとめるメールマガジン「がんばれ建設~建設業業績アップの秘訣~(http://www.hata-web.com/mail_magazine.html)」は、読者数12,000人を誇る、日本一の建設業向けメルマガとなっている。