建設会社 若手技術社員の育成手法 【vol.1】3つの要素

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(1)若手技術社員の育成手法 【vol.1】3つの要素

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建設会社の若手技術者がなかなか育たないという。また早期に退社してしまう者も多い。

ここでは、若手社員を育て、戦力にしていくために必要な3つの要素について考えてみよう。

 

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青木建一は、地元の建設会社、いわゆる地場ゼネコンに入社して3年目。

仕事に少し慣れて毎日はりきって現場管理業務を実施している。

 

しかし最近ちょっと悩みがある。このままこの会社で働き続けてよいのだろうか、と。

 

同級生の山田くんは昨年、公務員試験に合格して、地元の市役所職員になった。

「給料はほとんど変わらないが、休みが多く、残業なし。」
という話を聞くと、正直このままでいいのだろうかと悩んでしまう。
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1.信頼できる仲間の存在

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社内には青木と同じ世代の社員が5名しかいない。

その上、全員が別の現場で働いているのでなかなか会うことができない。

そんななか、大学の同級生から電話があった。

 

「建一、元気か」

「ああ」

「なんだ、元気がないな。ところで異業種交流会って行ったことあるか。」

「異業種交流会?」

 

なんだかわからないまま、友人に誘われて異業種交流会に参加した。

そこでたまたま他の建設会社で働く同い年の建設技術者がいた。花山達也だ。
驚くことに彼の周囲には人が集まって笑顔で語り合っている。女性の友人も多いようだ。

 

「よし、俺も負けちゃいられないぞ」

 

建一は早速名刺交換をして、今後、達也とやりとりをすることになった。
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ピーター・ドラッカーは組織が活性化する要因として「競争結果責任」といっている。
この3つの要素を組織が持つことでやる気が増すという。

 

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(岩崎夏海著)では、練習の活気がない野球部に対して、女子マネージャーの川島みなみが3つの施策を実施することでチームの活気を招いた。

 

まず18名の部員を6名3チームに分けてポイントを競わせた(競争)
ポイントとは、攻撃点、守備点、走塁点を数値化したもので、毎日の実績を見えるようにして貼り出した(結果)
また攻撃担当、守備担当、走塁担当のように役割分担をして担当者に練習メニューを決めさせ、結果責任を負わせた(責任)

 

結果、練習が活気づき、強いチームになったのだ。

 

建一は、それまで会社の中で孤軍奮闘していたが「信頼できる仲間」の存在により、やる気が増したのである。

2.尊敬できる先輩の存在

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建一の上司は今野真一 係長だ。

建一より5歳年上の30歳。若くして係長に抜擢された。仕事ぶりはてきぱきしていてかっこいい。

 

しかもちょっと悩んでいると、

「おい、建一、大丈夫か」

とすぐに声をかけてくれる。そして時折、

「晩飯食いに行こう」
と食事に誘ってくれるのだ。

 

「俺も、5年後には今野係長のような社員になるぞ」

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目の前を歩く人の足元を見て歩いているうちに、知らぬ間に高い山の頂上に着いた、という話を登山家に聞いた。

つまり一歩前をゆく人がいると成長する

ただしその場合、前を歩く人を尊敬していると条件が必要だ。尊敬していない人についていこうとは思わない。

3.変化、成長を実感できる環境

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建一の上司は岩下厳五郎 部長。50歳。

いくつもの現場を経験し、10年前に課長、そして5年前に部長になった。

岩下部長のすごいところは、建一のちょっとした変化に気づくことだ。

 

「図面を書くのが早くなったな」

「作業着にアイロンがかかっているな。彼女でもできたか」

「きょうの出社は昨日より10分遅いけれど、体調は大丈夫か」

 

自分のことを驚くほど見ている。部員は50名もいるのに、よく自分の変化をわかるなと感心してしまう。

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水泳選手に、コーチに声をかけてもらい、もっともうれしい言葉はなんですか、と聞いたことがある。

すると意外な返事が返ってきた。

 

「自己ベストだ」

 

私は、「すごい」とか「早くなったね」などと言って欲しいと思っていたが、そうでなく、

コーチが自己ベストを知っていてくれることが何よりうれしいのだそうだ。

 

つまり、いつも自分に関心を寄せて欲しいということ。

女性が髪の毛を切って「髪の毛切ったね」と言われてうれしいように、ちょっとした変化に気づいてくれるとうれしいもの。
少しの変化、成長に気づいてくれるとやる気が増すものだ。

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降籏 達生 ふるはた たつお

建設技術コンサルタント。ハタ コンサルタント株式会社 代表取締役。
ハタ コンサルタント株式会社 http://www.hata-web.com/
映画「黒部の太陽」に憧れて熊谷組に入社。ダム工事、トンネル工事、橋梁工事などの大型土木工事に参画。阪神淡路大震災を契機に技術コンサルタント業をはじめる。
建設技術者4万人の研修・育成、1,000件を超える現場指導を手がけ、建設業界からの信頼が厚い。
編集長をつとめるメールマガジン「がんばれ建設~建設業業績アップの秘訣~(http://www.hata-web.com/mail_magazine.html)」は、読者数12,000人を誇る、日本一の建設業向けメルマガとなっている。