地域への影響が大きい工場火災と防火の法律 | 建設・設備求人データベース

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地域への影響が大きい工場火災と防火の法律

2014年03月18日

石油コンビナートでは、年間に100件近い火災や爆発事故が起こっています。工場の火災は社会的に大きな影響を及ぼします。防火対策は、企業の社会的責任です。

 

工場火災の特徴

 工場は、一般の住宅や事務所などと異なり、危険物や着火物が多く使用・保管されています。そのため、火災発生の危険性が高く、火災が発生すると工場建物や設備だけでなく材料や製品も損失し、生産の中断などで取引先にも大きな影響を与えます。また、被害が周辺地域に及ぶこともあります。
 

 

工場火災の動向

 平成23年の出火件数は50,006件で、そのうち建物火災は26,795件となっています。また、建物火災のうち工場・作業場の火災は1,761件で、石油コンビナートの火災は90件でした。(図表-1、2)。建物以外の火災には、車輛や林野などがあります。

        出典:総務省消防庁「消防白書(平成24年度版)

 

 工場火災の発生源は、(1)電気機器や発熱器、配線等の発熱によるもの、(2)溶接機・切断機などの火花、火の粉などの火種によるもの、(3)ガス油類とその設備によるものが多くなっています。
これらは、機械・設備自体の故障・異常だけでなく、作業者の取り扱いの不注意も大きな要因となっています。

 

出荷原因となりやすい機械・設備

 以下のような機械・設備は出火原因となりやすいため、特に注意が必要です。

 

(1) グラインダー
 研磨や切断の際に火花が発生します。
(2) 粉砕機
 可燃物を粉砕中に鉄片や硬質物が混入すると火花を生じて着火することがあります。
(3) 製綿・織物機
 可燃物を扱う機械であるため、火花や静電気により着火することがあります。
(4) 放電加工機
 加工時に油を用いるため引火することがあります。
(5) 旋盤
 切削時の摩擦熱により切削くずに着火することがあります。
(6) ボイラ
 異常燃焼や燃料への引火の危険性があります。
(7) 塗装ブース
 シンナーや塗料を扱うため着火の危険性があります。

 

火災を防ぐ防火管理者の役割

 火災を予防して、生命や身体及び財産を火災から保護するとともに、被害を軽減するための法律が消防法です。
消防法では、工場・倉庫・事務所などで、建物の収容人員が50名以上の場合、防火管理者を定めることになっています。
 防火管理者の役割は、(1)「消防計画」の作成・届出、自衛消防訓練、(2)消火、通報及び避難の訓練実施、(3)消防用設備等の点検・整備、(4)火気の使用または取扱いに関する監督、(5)避難または防火上必要な構造及び設備の維持管理、(6)収容人員の管理、(7)火元責任者等への指示などです。
「消防計画」には、自衛消防組織や消防設備の整備・点検、避難通路の維持管理などを定めます。

 

工場の防火対策

 自然災害と異なり、火災については対策によって発生を少なくし、損害を抑制することができます。多くの工場では、以下のような対策を行っています。

 

(1) 社内体制の整備
 火災発生時の対策本部、自衛消防組織の整備
(2) 計画・マニュアルの策定
 消防計画・マニュアルの策定、見直し
(3)火災発生時の体制整備
 消火活動、連絡通報、避難誘導等の周知
(4)早期発見・初期消火体制整備
 自動火災報知設備、非常警報設備、屋内消火栓、避難器具、防火扉、泡消火設備、スプリンクラーなどの設置
(5)点検・検査体制
 火災予防、自主検査、消防用設備の点検
(6)避難・延焼防止対策
 避難通路の表示・案内、建物の構造上の対策、収容人員の適正化
(7)教育・訓練
 防災教育、消火・通報および避難の訓練
 工場の火災では、いかに早く事業を再開させるかが重要となります。日頃から上記のような対策に加えて、緊急時の事業継続計画についても検討しておくことが大切です。

 

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