工事部課長の育成手法【vol.3】コミュニケーションスキル

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(3)工事部課長の育成手法【vol.3】コミュニケーションスキル

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成果を出す工事部課長に必要な能力は何だろうか。
3回目のテーマは「コミュニケーションスキル」だ。
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登場人物:
地場建設会社 昭平建設
・青木 建一 現場担当 25歳
・今野 真一 係長 30歳
・武上 幸一郎 工事課長 40歳
・岩下 厳五郎 工事部長 50歳
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人と人との葛藤を処理する

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武上「岩下部長、相談があるのですが」
岩下「どうしたんだ」
武上「山本さんと、またもめてしまいました。『日報を出してください』、といいましたら『忙しいので出せない』と言われ、ついカッとして、『課長命令です』、といってしまったのです。それ以来、顔さえあわせてもらえませんし、日報も出してくれません」
岩下「山本くんは、たしか武上課長よりも年上だな」
武上「はい、年上の部下とどのように接したらよいのか、よくわからないのです」

岩下「人と人との葛藤を解決する方法には3つある。「対決」、「延期または保留」、「回避」だ。「対決」には、力による対決と、相互理解による解決があるぞ。」
武上「私は力による対決をしたのですね」
岩下「そうだ。力による対決をして解決することもあるが、この方策は権力や立場のパワーまたは腕力などでの解決策なので、勝つ側には効果的な方法だが、負けた側にはまた新しい葛藤の始まりとなる。また交渉や妥協も、対決の一手法だが、やはりパワーのある側に有利になるんだ。従って、この方法は敵意、不安、現実的な被害などの副産物を生み出してしまう
武上「まったくそのとおりの結果になっていて、山本さんとの間には、かえって敵意をお互い感じています」
岩下「そこで相互理解による対決をしないといけない。いわゆるWin-Winの関係をつくることだ。この方法は、お互いに満足する方向や具体策を見つけ出すことだ。」
武上「そうすればいいことは分かるのですが、今回の場合どうすればよかったのでしょうか」

岩下「まずは『なぜ日報を出さなかったのか』を聞くべきだったな。すると原因は、体調が悪かったとか、急にお客様に呼び出されたとか、家族の都合だったりする。その上で、『それは大変でしたね』と共感した上で、『山本さんの日報はいつも詳細に書かれているので勉強になるので、明日からはよろしくお願いします』などと相手を認める話し方をするとよいぞ」
武上「なるほど、共感して認めるといいのですね」

岩下「それでも上手くいかないときは、解決することを「延期または保留」する。この方策は状況を冷却させることを試みることであり、葛藤状況を曖昧にするんだ。一応うまくいくけれど、不満足感や将来への不安または自分自身への懸念を残す場合がある。一方、時間が解決することもあるな」
武上「私はつい、この方法をやりますが、時間が経つだけで、根本的には解決しません」

岩下「3つめは葛藤を「回避」する方法だ。この方策は葛藤状態から物理的に離れることだ。具体的には『もう日報出さなくていいです』という。しかし「逃避」にならないような注意が必要だ。リーダーが逃げてはいけないぞ。回避策を選択する場合は、なぜ回避するのかを明確にし、その後の対応方法を考えておく必要がある。『今回は日報を書かないことを認めますが、ご家族の容態がよくなったら、さかのぼって書いてください』と話すことが重要だ」

武上「対決、延期、回避を使い分けることで、葛藤を処理するのですね。よくわかりました」
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小さな変化をフィードバックする

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武上「組織管理者は葛藤をおそれず、相手にフィードバックをする必要もあるぞ」
岩下「ほめたり、叱ったりするのですね」

武上「できるだけ小さな変化をフィードバックするのがいいんだ」
岩下「例えば、女性が髪を切ったとしよう。君は奥さんが美容院に行ったことを気づくかい」
武上「いいえ、私は鈍感なのでいつも家内が髪を切ったことを気づかずに叱られます」
岩下「奥さんが10cm髪を切ったらどうだろう」
武上「それはいくら鈍感な僕でも気づきます。でも、いつも家内は美容院で1~2cmしか短くしないので気づかないのです」
岩下「もしも1~2cmしかカットしなかったときに君が気づいたらどうだろう」
武上「家内はきっと喜ぶと思います。夕飯のおかずが一品増えるかもしれませんね」

岩下「小さな変化に気づくためにはどうすればいいと思う?」
武上「家内に興味や関心を持って観察することが必要ですね。」

岩下「そうだ。それがフィードバックの要諦だ。ちょっとした変化や成長を見逃さずに伝えてあげることがフィードバックには欠かせない。気づいてもらった人はうれしくて、またがんばろうと思うものだよ」
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コミュニケーションを取りながら人と人との問題を解決する能力を「コミュニケーションスキル」、または「ヒューマンスキル」という。
報連相(報告、連絡、相談)といったコミュニケーションの基本スキルを有していることは当然のこととして、「葛藤処理」能力、そして「クリティーク(適切なフィードバックをすることで相手の意欲を高める)」能力が、組織管理者には求められている。

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降籏 達生 ふるはた たつお

建設技術コンサルタント。ハタ コンサルタント株式会社 代表取締役。
ハタ コンサルタント株式会社 http://www.hata-web.com/
映画「黒部の太陽」に憧れて熊谷組に入社。ダム工事、トンネル工事、橋梁工事などの大型土木工事に参画。阪神淡路大震災を契機に技術コンサルタント業をはじめる。
建設技術者4万人の研修・育成、1,000件を超える現場指導を手がけ、建設業界からの信頼が厚い。
編集長をつとめるメールマガジン「がんばれ建設~建設業業績アップの秘訣~(http://www.hata-web.com/mail_magazine.html)」は、読者数12,000人を誇る、日本一の建設業向けメルマガとなっている。