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海外展開を加速する建設業界

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2012年11月16日

国内の建設投資額が減少する一方で、アジアをはじめとする海外では膨大なインフラ需要が見込まれています。大手建設会社だけでなく、中小建設会社も海外への進出を模索しています。


海外展開の歴史

日本の建設業の海外進出は、戦後の東南アジア諸国における賠償工事から始まりました。1970年代以降は中東のオイルマネーによる建設需要に対応し、1980年代以降は、日本の製造業の海外進出とODAの拡大に伴ってアジアでの受注を拡大してきました。1996年度には約1兆6000億円の受注実績を記録しました。
その後、アジアの通貨危機などの影響で落ち込みましたが、2007年には、ドバイなどでの大型工事の受注もあり1兆7000億円に達しています。
国内の建設投資の縮小が続くなか、再び海外に活路を見出すゼネコンが増えてきました。官民一体となって、海外市場で実績をあげるための戦略検討が進められています。






製造業との比較・海外企業との比較

従来、日本の建設企業にとっての海外市場は、たとえば、バブル崩壊後の国内需要減少期に海外受注が拡大するなど、受注量不足を補うための位置づけで、継続的な海外展開が行われていませんでした。
建設企業が海外への進出に積極的でなかった理由には、国内に大きな需要があったことと、海外における商習慣の違いやリスク管理不足によるトラブルなど、海外工事特有の問題もあります。そのため、日本の大手建設会社の海外売上高比率は、15%程度でしかありません。
しかし、製造業では、大手だけでなく中小の海外進出も進んでいますし、エンジニアリング企業においても海外受注高比率は高い割合を示しています。
また、海外の大手建設会社の中には、海外売上高比率が8~9割を占める企業もあります。
 日本の建設市場規模に対して、米国は2倍、欧州は3.3倍、アジアは4.5倍の規模といわれています。国内建設需要の拡大が見込めない今日、各社にとって海外進出は大きな経営課題のひとつとなっています。


日本の建設企業の強みと弱み

日本の国土は、山が急峻で、地質も脆弱であり、地震や火山活動も活発です。また、台風、豪雨などの気象条件も厳しいものがあります。そのため、日本の建設会社は、耐震・制免震技術やトンネル、橋梁、埋め立てなど、世界に誇る技術を持っています。さらに、完成物の品質や工期の遵守、環境や安全への配慮等の面においても世界から高い信頼を得ています。
しかし、契約やリスク管理、発注者との交渉力の弱さなどの弱点を抱えています。受注したものの工事が円滑に進まない案件や、赤字になる工事も指摘されています。


海外展開の課題

海外展開を拡大するには、以下のような課題を解決することが求められます。
(1) 商習慣の違い
 商習慣が異なるため、発注者や外注先との交渉でトラブルになるケースがあります。日本では、「性善説」にもとづいて交渉・契約を行うことが一般的ですが、海外では、「性悪説」にもとづいて業務を行う必要があります。 
(2) リスク管理体制
 追加工事の支払いや材料の値上がりによる調達コスト上昇時の請負金額増額など、想定されるトラブルや損失に対して、できるかぎり契約時にリスクヘッジをしておくことが大切です。
(3) 強みの再確認
 日本の建設会社の強みといわれる「技術力」や「工期遵守」は、確かに国内市場では重要な要素です。しかし、海外の市場環境、商習慣のもとで、その強みを本当に発揮できるのか、また、それが本当に現地で最優先に求められているニーズなのか、を案件ごとに検討する必要があります。


海外のインフラ需要獲得

海外のインフラ整備需要としては以下のようなものがあります。このような需要を取り込むためには、官民の協力が大切であり、国土交通大臣や関係民間企業トップが連携してトップセールスなどを行っています。
(1)下水道分野
ベトナム、インドネシア、サウジアラビア、南アフリカ等において、協力覚書等を締結しています。地方公共団体や関連団体と協力して技術セミナーやモデルプロジェクトなどを行っています。
(2)鉄道分野
米国、英国、ブラジル、ベトナム、インド等の高速鉄道計画について、新幹線技術の導入に向けた取組みを進めています。
(3)港湾・空港分野
ベトナム等で港湾、空港開発のプロジェクトが進行中です。人材育成や技術移転などを進めています。
(4) 道路分野
インド、ベトナム、フィリピン、インドネシア等の道路整備プロジェクトについて、計画段階から建設、運営・維持管理の幅広い視点で取組みを進めています。


建設業の海外展開への支援

国土交通省では、建設業の海外展開支援の一環として、日本の優れた建設技術を戦略的に売り込むための環境整備に取り組んでいます。相手国の情報を効率的かつ容易に収集できる体制を整え、相手国が関心を寄せた技術を持つ日本企業に情報を提供してマッチングを図ります。
 これまでに、国内の建設関連企業・団体から、約500件の建設技術を収集してPR資料としてまとめています。
 また、アジアなど海外工事に従事できるゼネコンOBらの技術者情報をデータベース化しています。①海外工事の経験があるゼネコンOB、②国内の大学で土木工学を学んだ外国人技術者、③工事現場に必要な専門技術を日本で習得した「外国人技能実習生」の情報を、データベース化して、建設会社が人材を照会できるようにしています。


地方・中小建設企業のための海外進出ガイダンス
海外進出への意欲を持つ地方・中小建設企業が海外進出の第一歩を踏み出せるように、海外進出の形態や手順、リスク等を整理したものです。建設業の国際展開を推進していくため、国土交通省が公表しています。
(1) 海外事業の基礎知識と進出までの具体的なステップ
(2) 海外進出事例
(3) 国別の現地法人等の形態や税制、建設業関係情報
(4) 情報参照先、相談窓口、在外公館、駐日外国公館等の連絡先
などから構成されています。


地方・中小建設企業のための海外展開支援アドバイザー事業
 海外プロジェクトに詳しい弁護士や中小企業診断士などの専門家からアドバイスを受けることができるように国土交通省が窓口を設けています。海外での現地法人等の設立、営業活動、契約制度、プロジェクト管理などについての相談をすることができます。

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