建設機械の進化~熟練操縦技術の自動化で作業効率を向上~ | 建設・設備求人データベース

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建設機械の進化~熟練操縦技術の自動化で作業効率を向上~

2013年10月05日

ITやGPS技術の進歩を取り入れて建設機械が進化しています。熟練者の操縦技術を自動化することで施工の効率化、品質向上、安全性向上などを実現しています。建設機械を自動制御して行う施工方法は情報化施工と呼ばれています。

 

建設機械の歴史

建設機械は、ブルドーザやショベルなど、土木・建築の工事に使われる機械です。日本の建設機械は、戦後に米軍払い下げのブルドーザが導入されたところから歴史が始まりました。その後、国内でもブルドーザ、ショベル、バックホウなどが次々に開発されました。そして、高度経済成長の時代に高層建築や道路整備などで大きな役割を果たしました。現在、主要な建設機械の保有台数は全国で約80万台と推定されます。
建設機械は高価なため、建設会社は自ら購入するのではなくレンタル会社から期間借りする場合が多くなります。特殊な作業に用いる機械の場合はさらに使う頻度が少ないことから、よりその傾向が強くなります。国内でのレンタル機の活用は50%を超えています。

 

建設機械の特徴

 建設機械は、建設工事を行うためのロボットとも言えます。例えば、油圧ショベルは、アタッチメントを付け替えることで「掘る」ことから、「掴む」「砕く」ことまで広範な作業が可能です。工事現場だけでなく、工場や廃棄物処理場などでも活躍しており、活躍の場が広がっています。
使い方を誤ると重大な事故につながる場合があるため、車体の色が目立ちやすい黄色になっています。

 

建設機械の自動化

建設機械の自動化は、1980年代に製造業のロボット導入に触発され、研究が進められました。当時は、建設工事に必要な位置特定技術や移動体の制御技術などが実用化のレベルにありませんでしたが、その後、測量技術や計測技術の進歩によって制御レベルが向上して実用化が進みました。大規模現場を中心に情報化施工の導入事例が増えています。(図表-1)

 

         出典:国土交通省「情報化施工推進会議資料

 

情報化施工による工期短縮と品質向上

 情報化施工のメリットは、工期短縮と品質向上にあります。自動制御では、設計データをブルドーザのコントロールボックスに送ると、GPSを使って位置を測定し、各種のセンサーで地面の状況を把握します。そして、必要な掘削作業を計算して作業を開始します。
完全な自動化でなくても、設計データや位置情報システムによって、設計通りの出来形になるようにブルドーザの排土板をコントロールすることができるため、オペレーターは、ブルドーザを前進・後進させるだけで工事を行うことが可能です。しかも、通常は、敷均しと検測を何度も繰り返しながら作業を行いますが、自動測定で制御されるため、検測が合理化されます。夜間作業も可能になり、丁張り(*)も不要です。GPSで転圧機械の位置や軌跡を計測することで、転圧回数を管理して過不足のない高精度の施工が可能になります。熟練者でなくても複雑な作業を高い精度で行うことができるようになりました。
建設機械の自動制御は、鉱山開発でも使われています。海外の鉱山現場では、ダンプの走行や荷物の積み下ろしの無人運転が行われています。

 

災害現場で活躍する建設機械

災害現場での無人化施工は、平成5年に雲仙普賢岳の除石工事で使われたのが始まりです。
福島第一原発でも無人化施工技術を活用してコンクリート瓦礫の除去が行われています。原子炉建屋周辺は放射線量が高く、構内の瓦礫も放射能で汚染されていて操縦者の安全が確保できないため、建機にカメラを設置し、遠隔地の操縦室から無線による遠隔操作で構内の瓦礫を撤去しているのです。

 

これからの建設機械

 建設機械の自動化に欠かせないGPS装置は、建設機械の盗難事件や犯罪への悪用を防止するためにも有効です。誰かが無断で建機を動かすと、自動的に持ち主の携帯電話に連絡が入ったり、遠隔操作で機械を止めることもできます。
稼働状況を管理して機械のメンテナンスに活用することもできます。
建設機械は、新興国のインフラ整備だけでなく、先進国の都市開発でもますます必要になります。建設機械の進化が工事現場を変えていきます。

 

*丁張り
工事を着手する前に、構造物の正確な位置を出す作業のことです。丁張りの精度が、実際に完成する構造物の精度に大きく影響します。

 

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