すべての道はローマに通ず ~古代の高速道路だったローマ街道~ | 建設・設備求人データベース

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すべての道はローマに通ず ~古代の高速道路だったローマ街道~

2016年12月15日

ローマ時代の遺跡には、多くの建物や水道などがあります。その中でも、最も大きな役割を担ったのが道路でした。ローマ街道のネットワークが、ローマ帝国の繁栄を支えました。

 

 ローマ街道の歴史

最初のローマ街道は、紀元前312年に着工されたアッピア街道です。ローマ帝国が支配地域を拡大するのに伴って、街道が延長されました。初期のローマ街道は、ローマからイタリア半島の主要都市を結ぶだけでしたが、領土が広がるにつれ、ローマ以外の都市と都市も結ばれるようになりました。

 

2世紀までの約5百年間で建設した距離は、幹線道路で8万キロ、支線を加えると15万キロに達しています。イタリア半島だけでなく、ガリア(現在のフランス)やブリタニア(現在のイギリス)、イベリア半島、アフリカ、ギリシャなどローマの属州にも網の目のように建設されました。

 

このようにローマ街道をネットワークのように建設したのは、支配地域へ軍隊を迅速に移動させることが必要であったためです。そして、人々や物品の往来を活発にして、支配地域の生活水準を向上させることも目的としていました。

 

ローマ街道の構造

ローマ街道は、軍隊の迅速な移動を主目的とした道路であったため、できる限り直線で建設されました。幅は4mで馬車が行き違いできる広さであり、車道の両側には、3mの歩道が設けられていました。車道と歩道は分離されており、川や谷では橋を架けて、街道とできるだけ同じ高さにしました。

 

道路の断面は、厚さ1.5mで4層構造になっており、3層の路盤部分は、下層路盤が大きな石で、中層路盤が中くらいの大きさの石、上層路盤が粘土と砂利を混ぜた層でした。

 

そして、路面は敷石で舗装され、重量のある分厚い石を敷くことで道路の安定性を高めていました。さらに、水が溜まらないように、道路の中央部が少し高くなるように勾配がつけられ、両脇に排水溝が設置されました。舗装の最下層は、砂利を敷き詰めてスムーズに排水するように設計されていました。このような構成は、まさに現代の道路と同じです(図表-1)。

 

道路舗装の構成(アスファルトコンクリート舗装)       出典:国土交通省「道路舗装に関する設計基準

 

そして、街道のすぐ外側に樹木を植えることを禁止しました。地下に伸びる根が、街道の車道部分に侵食するのを防ぐためです。

 

イタリアでは、現在もローマ街道にアスファルト舗装を行って国道として使用しています。ローマ街道は2千年の使用に耐える構造だったのです。

 

現代のサービスエリアまで

現在のアッピア街道は、風化により敷石の周囲が丸く摩耗し、隙間に土砂が入り込み、路面もでこぼこになっています。しかし、当時は、路面の最上層部はそれぞれがピッタリと隙間なく合うように加工された1辺が70cm以上の大きめの石が敷き詰められていました。そのため、砂が入り込む余地もなかったといわれています。

 

さらに、街道利用者のために、馬を交換して休憩するための交換所や茶屋、そして宿場が一定距離ごとに整備されました。現代のサービスエリアと同じです。

 

ローマ街道は、まさに古代の高速道路だったのです。

 

【用語解説】

■日本の高速道路と国道の総延長

日本の高速道路延長は平成26年で8,628kmです。自動車専用道路を含む高規格道路全体では、11,050kmになります。一般国道の総延長は、66,132kmです。

 

〈参考文献〉

1)「すべての道はローマに通ず ローマ人の物語X」 塩野七生 2001  新潮社

 

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