世界一長い吊り橋 明石海峡大橋 ~水や電気も海峡を渡る~ | 建設・設備求人データベース

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世界一長い吊り橋 明石海峡大橋 ~水や電気も海峡を渡る~

2016年11月29日

明石海峡大橋は、神戸と淡路島を結ぶ世界最長の吊り橋です。10年の歳月をかけて建設されました。

 

日本の吊橋技術

我が国の長大吊橋の歴史は、1962年に北九州工業地帯の洞海湾に架けられた若戸大橋(370m)から始まりました。日本で初めて本格的な風洞実験を行って建設されました。その後、1973年には関門橋(712m)が完成しました。

 

これらの建設で培った技術が、その後の本州四国連絡橋の建設に活かされています。瀬戸大橋の下津井瀬戸大橋(940m)、北備讃瀬戸大橋(990m)、南備讃瀬戸大橋(1,100m)の3つの吊橋は本格的な鉄道が走る最初の吊橋です。

 

明石海峡大橋の長さと高さ

明石海峡大橋は、全長3,911m、中央支間1,991mで主塔の高さは海面上298.3mもあります(図表-1)。約5,000億円をかけて建設されました。

 

図表-1 明石海峡大橋        出典:本州四国連絡高速道路株式会社「明石海峡大橋側面図

 

明石海峡大橋は、戦前から構想があり、昭和30年代から本格的な調査が始まりました。当初は、中央径間長1,780mの道路・鉄道併用橋とする計画でしたが、建設費用の問題から1985年8月に道路単独橋とする方針に変更されました。さらに着工当初は全長3,910m、中央支間1,990mの計画でしたが、工事中の1995年1月17日、阪神・淡路大震災で地盤がずれたため全長が1m伸びました。

 

明石海峡大橋を支えるメインケーブル

明石海峡大橋のメインケーブルは290本のストランドで構成され、そのストランドは127本のワイヤーから成っています。つまり、ケーブル1本には36,830本のワイヤーが使用されています。このワイヤーは直径5.23mmで引張り強度180kg/mm²ですから、1本で3トン以上の重さを支えることができます。このワイヤーを束ねた直径112.2cmケーブルで約6万トンの加重を支えています。

 

ケーブルは、表面がゴムで覆われ、さらに内部に脱塩、乾燥した空気を常時送風しています。こうすることで、海上の厳しい環境からケーブルを保護して錆びを防いでいるのです。

 

吊橋の象徴となる主塔の構造

吊橋の力学的構造上、主塔の高さを高くするほどメインケーブルにかかる力を小さくすることができます。建設費や施工上の問題も検討したうえで、現状の主塔の高さとケーブルの太さが決まりました。

 

ケーブルを吊る主塔の基礎は、海面下50m以上の大水深です。そのままでは強い潮流によって基礎周辺の海底地盤が洗掘され、基礎が倒れてしまいます。そこで、約1トン分の小石をネット製の袋につめたフィルターユニットを基礎周囲に10mの厚さで敷き詰めて洗掘を防止しています。

 

その他にも、風で揺れないようにする塔や桁の制振システム、橋の挙動を監視するモニタリングシステムなど、多くの新しい技術が取り入れられました。

 

淡路島の水不足も解消

このようにして、明石海峡大橋は1998年4月5日に開通しました。明石海峡大橋の桁の内部には大口径の水道管や高圧送電線、大容量の通信用ケーブルなども収納されています。それまで淡路島は慢性的な水不足に悩まされていましたが、この水道管により水の安定供給が実現しました。

 

明石海峡大橋が開通して、京阪神と淡路島・四国を結ぶ高速バスも次々と開設されました。朝に採れた四国の農水産物を安定的に関西方面へ出荷できるようになり、徳島県をはじめ四国産の農水産物は、関西の市場で大きなシェアを占めるようになりました。明石海峡大橋の開通で四国の生活が大きく変化しています。

 

【用語解説】

■風洞実験

人工的に風の流れを発生させ、その中に縮小模型を置いて風の影響を分析する実験です。

 

■瀬戸大橋

瀬戸内海をまたいで岡山県倉敷市と香川県坂出市を結ぶ10の橋の総称です。

 

■洗屈

潮流が基礎にあたって発生する渦が海底をえぐる現象です。

 

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