建築物のエネルギー消費削減を図る建築物省エネ法~省エネ性能表示で建物を評価~ | 建設・設備求人データベース

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建築物のエネルギー消費削減を図る建築物省エネ法~省エネ性能表示で建物を評価~

2016年09月13日

我が国の最終エネルギー消費のうち、民生部門(業務・家庭)でのエネルギー消費量が増加しており、全体の1/3を占めています。

 

建築物省エネ法制定の背景

日本は、2030年度にCO2排出量で2013年度比▲26.0%を達成することを世界に約束しています。そのためには、増加を続けている民生部門でのエネルギー消費の削減が重要です(図表-1)。民生部門は、業務部門と家庭部門に分かれます。

 

図表-1 エネルギー消費量の推移     出典:国土交通省「平成25年度エネルギー需給実績(速報)(資源エネルギー庁)建築物省エネ法の概要

 

業務部門とは、事務所・ビル、デパート、卸小売業、飲食店、学校、ホテル・旅館、病院、劇場・娯楽場、その他サービス(福祉施設など)におけるエネルギー消費です。家庭部門は、住宅でのエネルギー消費で、動力・照明(38.1%)、給湯(27.8%)、暖房(22.9%)、ちゅう房(9.1%)、冷房(2.0%)の順に多く使われています。

 

従って、民生部門すなわち業務部門と家庭部門のエネルギー消費削減のためには、住宅・建築物における対策が重要となります。

 

住宅部門でのエネルギー消費量の増加は、世帯数の増加と機器使用の増加が要因です。家電機器の普及や大型化、生活様式の変化などに伴い、動力・照明のエネルギー消費が増加し、エアコンやパソコンなどの保有台数も増えています。建築物部門では、床面積の増加と営業時間の延長が大きな要因となっています。

 

このようなことを背景に、2015年7月に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」が制定されました。

 

建築物省エネ法とは

建築物省エネ法は、次の2つから成っています。

 

(1) 誘導措置(2016年4月施行)
販売・賃貸事業者は、販売・賃貸を行う建築物についてエネルギー消費性能を表示するように努めなければなりません。

 

(2) 規制措置(2017年4月施行予定)
2,000㎡以上の非住宅は、新築時に省エネ基準に適合させなければなりません。また、300㎡以上の建築物は新築・増改築時に省エネ措置の届出を行い、行政庁から性能向上計画認定を受けます。基準に適合しない場合は、行政庁から指示・命令等を受けることがあります。認定を取得すると容積率の特例を受けることができます。

 

このような誘導措置と規制措置で、建築物の省エネ性能を向上させようとしているのです。

 

省エネ性能表示制度

省エネ性能表示制度には、新築時に第三者機関が省エネ性能を評価して認証するBELS(図表-2)と、既存建築物の改修時に行政庁が省エネ基準への適合を認定するeマーク(図表-3)があります。

 

図表-2 BELS       出典:国土交通省「住宅・ビル等の省エネ性能の表示について

 

BELS(ベルス)とはBuilding-Housing Energy-efficiency Labeling System(建築物省エネルギー性能表示制度)の略称で、新築・既存の建築物において、第三者評価機関が省 エネルギー性能を評価して認証する制度です。性能に応じて5段階で★表示がされます。さらに、省エネ性能表示を取得した建物は、BELS のウェブサイト等に掲載することができます。

 

図表-3 eマーク
        出典:国土交通省「住宅・ビル等の省エネ性能の表示について

 

eマークは、既存住宅や既存建築物(オフィスビル等)の改修時等において、省エネ基準への適合をアピールすることができます。

 

いずれも建築物の省エネルギー性能を見える化し、省エネ性能に優れた建築物が市場で適切に評価され、消費者に選択されるようにすることが目的です。

 

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