西松建設、ジオマシンエンジニアリング、東宏の3社は15日、トンネル坑内における任意の場所で展開・収納可能な「移動式発破防護バルーン」を開発したと発表した。
昨今の長距離山岳トンネル建設の現場では、連続ベルトコンベヤシステムによるずり搬出方式が普及傾向にある。この方式は高速での掘進が見込めるものの、飛び石による損傷を避けるため先頭設備(クラッシャー)と切羽間に約50m以上の距離をおく必要があり、一次ずり運搬距離が増大。結果として掘進速度の低下を招いてしまうことが課題の1つとなっていた。
こうした背景を受けて開発された「移動式発破防護バルーン」は、発破による飛び石をクラッシャーに届かないよう切羽付近に封じ込めるためのバルーン部、このバルーンを展開・収納するためのフレーム部によって構成。バルーン部切羽側にはアラミドシートを、フレーム部にはダンパー機構を設けることで、発破に耐えうる耐衝撃性を確保した。
実際の利用においては、バルーン部で発破の影響を切羽付近にとどめることで、クラッシャーをなどトンネル坑内の設備を今までより切羽近傍に設置することが可能に。これによって待避離隔が短縮され、一次ずりにおける運搬距離の短縮が実現した。このバルーン部では発破時に発生した粉じん・後ガスを閉じ込めることもできるため、発破直後におけるそれらの拡散防止にも効果を発揮する。
加えてフレーム部を設けている構造を生かし、展開に4分程度、収納に3分程度と短時間での展開・収納を実現。掘削サイクルの発破時のみトラックで運搬して的確に使用できる、設置や撤去が容易な仕様とした。またフレーム部はバルーン部を面的に支持し、バルーン部を安定した姿勢で展開する機能も併せ持っている。
この「移動式発破防護バルーン」は、現在西松建設が施工中の長距離トンネル工事へ導入される予定。今後同社では実際の利用を経て、耐久性の検討と装置の改良を進める方針だ。
(画像はプレスリリースより)
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西松建設によるプレスリリース
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