大丸心斎橋店本館のヴォーリズ建築部、建て替え後も存続へ

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大丸心斎橋店本館のヴォーリズ建築部、建て替え後も存続へ

2015年09月14日 21:45

安全強化で建て替え検討も、高評価の意匠部分が課題に

J.フロントリテイリング株式会社およびその連結子会社である株式会社大丸松坂屋百貨店は11日、大丸心斎橋店本館の建て替え計画に関し設けられた保存検討委員会による、同計画の検討結果を発表した。

これまでも数回にわたる耐震改修が実施されてきた大丸心斎橋店本館は建物の老朽化が進行しており、J.フロントリテイリングでは昨今の社会情勢などを踏まえ、構造・防災の両面における安全性能強化を念頭に置いた建物の建て替えが妥当であると判断した。

ただし、この本館建物は米の建築家故ウィリアム・メレル・ヴォーリズが手掛けた代表作の一つに数えられ、その設計による大正時代の創建当初の意匠を随所で維持しているのが特徴だ。

また1980年には「日本近代建築総覧」、2007年には「大阪府の近代化遺産」に記録されるなど、歴史的・文化的に高い価値を有することが考えられている。

これら建物の特色を踏まえ、同社では関西学院大学の加藤晃規名誉教授を委員長とし、その他数名の学識経験者らで構成される保存検討委員会を設置。建て替えを実施する場合、意匠的に価値の高い建築部分をいかに継承するかなどについて、委員会の判断を仰ぐ方針を打ち出していた。

委員会は計画を評価 1階内装を中心に保存求める

委員会では同社側の要請を受け、建て替え判断に至る経緯を踏まえたうえで本館の現状を改めて把握。その後行われた今回の発表で、委員会は建て替え計画について、顧客の安心・安全やBCP(事業継続)性能確保、心斎橋地区の活性化や魅力ある商業施設としての性能・機能を満たしていることをベースに、優れた都市機能に寄与するものとしてこれを評価した。

また歴史性の継承に関する面では、心斎橋地区の顔として広く親しまれている御堂筋側外壁を現位置で保存することを評価したほか、内装のうちとりわけ1階部分のものについて、意匠的評価が高いと判断。意匠面で特に優れた部位について引き続き調査を行うとともに、この1階を中心とした空間保存を求める考えを示した。

検討結果を踏まえ、新旧織り交ぜた建て替えへ

J.フロントリテイリングは今回の委員会による発表を踏まえ、今後外観面において外装材料や躯体の健全性に留意しつつ、保存対象となる部分に関する技術的な検討を実施。予定されている新築部分も、これら保存部分とのバランスに配慮したものとする考えだ。

また内装に関しては、塗装の改変・劣化状況に加え、現在の躯体から取り外し可能かを改めて調査し、再活用可能な部材を抽出。1階を中心とした内装へ活用することを検討したいとしている。

(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク

 

J.フロントリテイリング株式会社、株式会社大丸松坂屋百貨店によるプレスリリース
http://www.j-front-retailing.com/_data/news/

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